第57話<龍田さんの想い>
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やはり、よく分からないが……
「まあ私としては司令官としての責務を全うすべく精誠を尽くすばかりだ」
「はい。よろしくお願いします」
彼女は微笑んだ。
龍田さんも何処となく秘書官にも似ている部分があるな。そう思いながら私は軽く会釈をして席を立った。
(他の酒に強そうな連中というと利根と山城さんか)
彼女たちを探したら、なぜか父親と航空機談義をしている二人を見つけて驚いた。
(へえ)
一方の、お酒を飲まないグループ……祥高さんと寛代、五月雨は別の場所にいた。
お酒を飲まないと手持ち無沙汰になるのか彼女たちは適宜、配膳を手伝ったり下げたりしている。特に駆逐艦娘たちは何かをしていないと落ち着かないのだろう。こまごまと動いている。
そのお陰で、私の母親もかなり手が空いて北上や龍田さん、それに時々青葉さんと楽しそうにお喋りをしている。艦娘たちに囲まれて私の父も母も自然に艦娘たちと馴染んで、けっこう楽しそうにしている。
その光景を見てると私自身せっかく故郷に着任したのだから実家にも時々、顔くらい出さないと駄目だなと思った。
(あれ?)
「どうしたの? お母さん」
私は、こちらに来た母親に聞く。
彼女は艦娘を見ながら言った。
「彼女たち、明るいし話題も豊富だな。普通の軍人さんとは思えん。とっても楽しいわ……それに休みの日も何処も行かんっていうが? だったら時々うちに連れて来るだわ」
「え?」
いったい何を言い出すのかと思った。
「艦娘って艦船だぁが? いまはまだ法律があるけん単独でウチげな普通の家に来たらいけンだぁも、お前が許可して複数で来れば、えぇってだぁが?」
(通訳:艦娘は艦船だから今の法律では彼女たちが単独で一般家庭に来るのは禁止だけど。責任者が許可した上で複数で訪問する場合は作戦行動の一環として認められる)
「詳しいな、お母さん……」
(てか、こらっ青葉! ……なに入れ知恵してるんだ!)
だが時、既に遅し。この場にいる艦娘たちには、その案がしっかりインプットされてしまったようだ。
「テートクぅ、それ良いねえぇ」
酔って轟沈していたはずの金剛が鼻息荒く浮上して絡んでくる。
「止めろ! 酒臭いっ」
「比叡もそれ、頂きます!」
余計なのまで起きてきて、こっちも頭を寄せて……来るなって。
「お前の被り物は金剛より痛いんだ!」(ごりごり)
「痛ってぇ!」
思わず絶叫。
「そうじゃぞ! それもぉ、指揮官の重要な任務じゃあ」
利根もフニャフニャしながら言う。
「勝手に決めるな! ……ってか利根っ。おい、顔真っ赤だぞ。大丈夫か?」
目が据わっている。怖いな。
「私も……そのアイデア、素敵だと思
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