暁 〜小説投稿サイト〜
マイ「艦これ」「みほ2ん」
第57話<龍田さんの想い>
[1/3]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話

「これからも、ここはいろんな事件が起こって……」

-------------------------------
マイ「艦これ」「みほ2ん」
 第57話 <龍田さんの想い>
-------------------------------

 ふと気づくと金剛(姉)も、早々に酔い潰れていた比叡を追うようにして轟沈。

その相手をしていた龍田さんも、それなりに飲んでいたはずだが、こちらはケロッとしていた。
……なんとなく分かるけど、ある意味、恐ろしいな。

 ちょっと気になったので私は席を立って彼女に近くに座った。
「大丈夫か? ……その」

こちらを見た龍田さんは直ぐに微笑んだ。
「あらぁ司令……ううん大丈夫よ。気になさらないで」

彼女は傍らで寝入っている金剛の髪の毛を軽く撫でながら言う。

「金剛さんも長女で帰国子女……いろいろ重圧もあるから大変なの。このまま寝かせてあげましょう」
さらりと言う彼女。

「いや、私が心配なのは」
……言いかけた私に龍田さんは指を立てて『シッ』という仕草をする。

「大丈夫よ。私は地上では最後まで残るタイプなの。でも海上では……」
そこまで言った彼女は、ちょっとだけ寂しそうな表情をした。

 龍田さんは空になった容器を机に戻しながらホウッとため息をついた。お酒の匂いが辺りに漂う。アルコールと彼女自身の、お香のような香りが独特の怪しさを(かも)し出している。
 それでいて彼女の場合は、それが個性として昇華されているから不思議でもあった。

直ぐに龍田さんは明るい表情に戻った。
「お気になさらないで下さいな司令。艦娘の使命は例え旗艦が犠牲になっても作戦を全うすることですから」
「……」

 しばらく宙を見詰めていた彼女はゆっくりと口を開いた。
「……私ね、今まで自分の延命とかには全く関心がなかったのよ。でも今はちょっと変わったの」

 龍田さんは自分の傍で眠っている金剛姉妹を見ながら言った。
「司令は意識されていないでしょうけど、今の美保鎮守府にいると、何か大きなものが変わっていくような気がするの」

それから彼女は、秘書官と駆逐艦に視線を送った。
「……それは司令官と秘書官を中心として、少しずつね。着実に変わっていくわ」

「そうか?」
もちろん私には全く分からないことだ。

 だが彼女は私を見て微笑んだ。その表情からは今までの妖艶さが消え、とても素直な彼女自身の自然な笑顔になっていた。
「徐々に分かってくるわ……これからも、ここはいろんな事件が起こって……でも、必ずみんなで力を合わせて最高の鎮守府になっていくから」

そこでちょっと間が空く。
「……私は今度こそ、それを最後まで見届けたいの」

「今度こそ?」

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ