Side Story
少女怪盗と仮面の神父 46
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でるのだ。
堪らなかった。
逃げたくて逃げたくて仕方ない。
でも、?せ細った体は時間が経ってもなかなか意志を通してくれない。
喉が痛くて、声も出せない。
ならば少女が歌う悪夢に囚われていたほうがマシだと目蓋を閉ざしても、アルフィンの熱い指先が意識を揺り動かして、逃避させてもくれない。
ただ、涙だけがぼろぼろ、ぼろぼろと零れ落ちていく。
そんな、ゆるい真綿で首を絞められているような月日の中の、ある朝。
自身が病を患っていると前置いた上で、ティルティアは言った。
「グレンデルは……あの人は根っからの海の男だから、陸に揚げたりしたら呼吸困難を起こしちゃうわ。だからね」
アルフィンを、貴女に託したいの。
息の根を止められた。と、思った。
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