Side Story
少女怪盗と仮面の神父 46
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探さなかった!?
笑いながら死ねるほどの絶望を抱えるくらいなら、どうして…っ!!
マーシャルのそんな言外の悲しみを理解したから、ハウィスは気付く。
狂わせた。つまり、少女のあの出で立ちは本来在るべき姿ではない。自らの力ではどうにもならなかった道を進んだ故の結果。
そうさせたのがブルーローズの行為……貴族の所有品強奪だとするなら、少女の正体は……。
罪悪の歯車が?み合った瞬間。今度は、ハウィスの心が壊れた。
生きようとしている。立場は違えど、誰もがそれぞれの方法で必死に生きようとしていた。
誰かの邪魔をしたのはハウィスも同じ。ハウィスの行動が、少女を死に追いやった。
ハウィスが。少女を。殺した。
こんなの、両親と片足の子供を殺した貴族と同じじゃないか。マーシャルの心を壊した男達と同じだ。連中と自分とで、いったい何が違う? 何処が違う?
私は 自分勝手な 「人殺し」だ……っ!!
其処からの記憶は、大半が笑い顔で埋め尽くされている。
首から血を噴き出している少女が笑いながら「お前の所為で私は死んだ。私はお前に殺された」と何度も何度も歌う狂気の中で、ハウィスはひたすら謝り続けていた。謝る以外には何も考えられず、何もできなかった。
しかし。
「……いたい?」
少女の「歌」が突然「言葉」に変わり、熱を持つ指先が柔らかく額に触れた時。ハウィスは驚きのあまり飛び起きかけた。そして、頭の横にちょこんと座る小さな女の子の特徴的な双眸を見て混乱し、困惑し、怯えた。
目の前で絶命した少女が、何故か幼児の姿で、生きて其処に居るのだ。何も感じないほうがおかしい。
音にもならない悲鳴を上げて逃げ出そうと身動ぐハウィスを止めたのは、幼児を抱え上げてにっこりと微笑む女性だった。
「不思議ね。貴女は、アルフィンに好かれてるわ」
アルフィンが初対面の人に自分から手を伸ばしたのは、貴女が初めてよ。私とグレンデルなんて、抱える度に大泣きされてたんだから。羨ましいったらないわ。
ころころと軽い声で笑う女性にも驚き、益々恐慌の色を深めたハウィスだが。
「私はティルティア。この子は私の娘で、アルフィンというの。ねえ。貴女、名前は何ていうの? 生まれは南方領? それとも中央領? 肌が白いし、北方領かしら。あ、でも、北方に住んでたからって肌が白いとは限らないのよね。雪焼け? って言うんだっけ? 寒い地方で陽焼けするなんて意外よねぇ。全然そんな印象は無いのに」
ティルティアはハウィスの様子などお構いなしで、一方的に話し掛けてきた。
目を覚ました日も、次の日も、そのまた次の日も。
身の周りを世話してくれる人は他にも居たのに、何が楽しいのか、殆ど毎日笑顔でハウィスの世話と日常報告の為に現れる。
時々来
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