Side Story
少女怪盗と仮面の神父 46
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は、心が壊れていた。
少女の時分よりもずっと幼い子供の如く振る舞い。
死んだと知っている筈の両親を大声で捜し回り。
虫も寝静まる深夜に突然泣き、突然怒り、突然気を失ったりもする。
言葉すらまともに紡げないマーシャルは、それだけでハウィスに無力感を植えつけ、深く傷付けた。
雨宿りも満足にできない廃屋で「あぅあー」「まーう」「とーあ」と。
最早何が言いたいのかさえ解らない妹を持て余す日々。
一時でも手を離さなければ、二人分の食料は決して獲れない。
だが、食べ物を探す為に別れたわずかな時間で壊されてしまった妹の心を思うと、再び一人にするのは心底恐ろしい。
そんな葛藤を続けていれば当然、姉妹は日に日に痩せ衰えていく。
──もういっそ、二人で抱き合ったまま死んでしまおうか──
腕の中でむずかる妹の髪をさも愛しいものに触れる手つきで撫でながら、そんな考えが無感情に過ぎり始めた頃だ。
子供が三人、兵士らしき大人二人に追いかけられて、廃屋にやってきた。
どうやら、度重なる盗みがバレて殺されそうになっているらしかった。
その子供三人と姉妹は、間違いなく初対面だったが。
双方のみすぼらしい格好のせいで仲間に見えたのだろう。
大人達は、大人しく座っていただけの姉妹にも、断罪の矛先を向けた。
次の瞬間、大人達は死んだ。
ハウィスが大人達から剣を奪い取り。
それぞれの刃で、大人二人の心臓を的確に貫いたのだ。
子供三人は何が起きたのかが理解できず、茫然と立ち尽くす。
しかし、一番茫然としていたのは、ハウィス自身だった。
死んでも良いと思い始めていたのに何故、と。
人を突き殺した両手と、首を傾げて自分を見上げる妹の目を見比べて。
そうして初めて、自分が動いた理由に気付く。
理不尽だからだ。
何故、妹ばかりがこんな目に遭う。
何故、幼い子供ばかりが、殺されなければならない。
何故、生きたいとただそれだけを願い必死で足掻く者の邪魔をするんだ。
何故。
何故。
何故。
何故、何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故??
…………ああ、そうか。戦争が悪いんだ。
戦う奴が悪い。戦う理由を作る奴らが悪い!
戦いを容認する、すべての人間が悪い??
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