Side Story
少女怪盗と仮面の神父 46
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に痩せ衰えていく。
もういっそ、二人で抱き合ったまま死んでしまおうか。
腕の中でむずかる妹の髪をさも愛しいものに触れる手付きで撫でながら、そんな考えが無感情に過ぎり始めた頃だ。
子供が三人、兵士らしき大人二人に追い掛けられて廃屋にやって来た。
どうやら度重なる盗みがバレて殺されそうになっているらしかった。
三人と姉妹は間違いなく初対面だったが、双方のみすぼらしい格好の所為で仲間に見えたのだろう。大人達は、大人しく座っていただけの姉妹にも断罪の矛先を向けた。
次の瞬間、大人達は死んだ。
ハウィスが大人達から剣を奪い取り、それぞれの刃で二人の心臓を的確に貫いたのだ。
子供三人は何が起きたのかが理解できず、茫然と立ち尽くす。
だが、一番茫然としていたのはハウィス自身だった。死んでも良いと思い始めていたのに何故、と。
人を突き殺した両手と、首を傾げて自分を見上げる妹を見比べて初めて、自分が動いた理由に気付く。
理不尽だからだ。
何故、妹ばかりがこんな目に遭う。
何故、幼い子供ばかりが殺されなければならない。
何故、生きたいとただそれだけを願い、必死で足掻く者達の邪魔をするんだ。
何故。何故。何故、何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故ッ!!
……ああ、そうか。戦争が悪いんだ。
戦う奴が悪い。
戦う理由を作る奴らが悪い!
戦いを容認する総ての人間が悪い!!
大人二人がピクリとも動かないと気付いて漸く状況を飲み込み、直視してしまった死への恐怖で慄き出した子供三人に、ハウィスは硬い表情のままで告げる。
こんな世界は間違ってる。こんな人間達の為に私達が死ぬなんて間違ってる。
だから、一緒に行こう。一緒に生きようと。
その時の三人は走って逃げたけれど、嫌悪と憎悪と憤怒を糧に立ち上がったハウィスに迷いは一切残らなかった。
妹が深く眠っている時を見計らって適当な密室に閉じ込めた後、憎く思う貴族の屋敷ばかりを襲撃し、兵士達と対等に渡り合い、狙った獲物は確実に奪い去る。
腕利きの盗賊となったハウィスの噂は、瞬く間に南方領の各界で広がった。
ある孤児はハウィスの強さに魅せられて。ある孤児は金持ち達の悔しがる顔見たさに。ある孤児は単純に生きたいと願って。様々な思惑を持つ様々な境遇の子供達が、武器を片手にハウィスの下へと集う。かつては逃げ出した三人も、ハウィスの強さを恐れながら、生きられる可能性に賭けて戻って来た。
そうして姉妹と直接顔を合わせてハウィスの剣技を見届けた者達は、例外無く同じ感想を呟く。
「青薔薇の姉妹」
二人が三人に。三人が四人に。最終的に十四
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