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マクロスフロンティア【YATAGARASU of the learning wing】
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。そして、俺一人が出来る事も限られているのだ。
視線を上げ、改めて奏を見る。その大空の様に澄んだ瞳には、大粒の涙が浮かんでいた。そして……
「………バカーーー!!」
思いっきり怒鳴られた。
おもわず唖然とする。硬直したままの俺にツカツカと歩み寄った奏は、そのまま俺の頬に痛烈な平手打ちを食らわせた。
「ぶっ!?っ、何すんだ!」
「こっちの台詞よ!フロンティアから逃げろ、ですって?私がそれを素直に聞くとでも?」
「……思ってねーよ。けど、聞いてもらう。」
「い、い、え!絶対聞くもんですか。何が何でもフロンティアに残るわよ!」
「だからここは危険なんだよ!俺はお前が死ぬのに耐えられない……だから……っンン!?」
叫び返した俺の口を、突然に何か柔らかい物が塞いだ。すぐ目の前に奏の顔があり、何をされているのか理解する。
「んん……どう?」
「どうってお前……」
「………分からないの?」
「……何が?」
「私も、翼と同じ。翼を失うなんて耐えられない。」
そういって奏は、キスを交わした姿勢のままこっちに体重を預けてくる。
「翼を失うくらいなら、死んだ方がマシ。私も、あなたと同じだって分からないの?」
「っ……けど、」
「でも、私は翼を信じてる。翼なら私を、このフロンティアを守ってくれるって。そして……絶対私の所に帰ってくるって。」
「奏……お前……」
「大丈夫、翼なら出来る。あんな化け物の100や200、敵じゃないわ。……だから、」
そこで一度言葉を切る。こっちを見据え、その瞳に確かな意思を宿して口を開く。
「だから……勝って。」
『勝って』。シンプルで、難しくて、真っ直ぐな願い。
「………わかーー」
ヴィーー!!ヴィーー!!ヴィーー!!
『コンディション・レッド発令!コンディション・レッド発令!全戦闘要員は直ちに所定の配置につけ!!繰り返す、全戦闘要員は直ちに所定の配置につけ!!』
「これは……」
始まった。何が、かは分からない。けど、確実に『何か』が動き出した。
「……行くんでしょ?」
「ああ。」
「……翼、翼は………」
「心配すんな。」
二回りは小柄な奏の頭に手を乗せる。普段はこうすると「子供扱いするな!」と機嫌が悪くなるが、今は抵抗しない。
「……『勝って』くる。」
それだけ言って、格納庫で待つ相棒の元に急いだ。
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