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マクロスフロンティア【YATAGARASU of the learning wing】
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呼び出しか?

「……翼、お前って奴は………。」

「何だよ?」

「………いや、何でもねぇ。とっとと行ってこいよ。」

「?おお。」

エントランスまでは大した距離じゃない。さして急がなくても五分で着いた。しかし、

「遅い!」

澄んだ声、強めの口調、空色の髪。見間違えようが無かった。

「……奏?」

怒ったようなーー実際怒ってるんだろうがーー膨れっ面をした美星奏(最愛の恋人)が、そこにいた。










「どうして此処に?」

場所を応接室に移し、とりあえずの疑問をぶつけてみる。が、帰ってきたのはマクロスキャノン並みの破壊力を秘めたジト目だった。

「どうしても何も……何回も何回も何っっっ回も連絡したのに、一つも返信が無いのは、どうして?」

「へ?……あ。」

そういえば、確かに奏からの連絡は来ていた。が、唐突に慌ただしくなった中で返す時間がとれなかったのと、返せるような精神状態じゃ無かった為に放置してしまっていたのだ。

「あー……済まん。怒ってる……よな?やっぱ。」

「当然よ。」

うう……怖ぇ〜〜。これならまだバジュラ100体の群れに単機で飛び込んだ方がマシだな。

「……でも、それより大事な用があるからいいわ。」

大事な用?何だ?……まあでも、俺も言っておかなきゃいけない事がある。そういう事なら……

「丁度いいか。俺も話がある。」

そう言うと、幾分か意外そうな顔をした奏が、「先にどうぞ。」と促してくる。

「奏、フロンティアから逃げろ。」

「え?」

「他の船団へのチケットは軒並み高騰してるけど……俺の稼ぎも使えば充分に足りる筈だ。他の何処でもいい。フロンティアから離れろ。」

「ちょ、待って…」

「幸いギャラクシー以外にも幾つか旅客船で行ける船団はある。コースもバジュラの予測棲息域から外れてるし、大丈夫だろ。」

「待って!」

「………。」

奏が叫ぶ。その顔は怒りというよりは今にも泣き出しそうに見えて、咄嗟に視線を下げた。

「何で……何でそんな事言うのよ!」

「……公式には発表されて無いが、敵が圧倒的過ぎる。そうそう簡単には敗けないとは思うが、万が一もあるし……俺が、生きて帰れる保証は無い。」

バジュラが攻めてきた時、S.M.Sに求められる役割は先鋒だろう。初撃を受け損なったら一気に全軍が瓦解しかねない。そして、前衛の損耗率は言うに及ばず、だ。

「仮に生き残っても、俺とは違う場所から突破されて、それでフロンティアは終わるかも知れない。俺は、そんな瞬間を見たくないんだ。……お前を失う瞬間を。」

全力を尽くすし、諦めるつもりも無い。しかし、戦場に絶対は無い
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