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レインボークラウン
第四百五十話

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              第四百五十話  墨なので
 二人はそれぞれイカ墨のスパゲティを全てそれこそパスタはおろか中に入っていた烏賊や大蒜、トマトまで食べた。
 そのうえでだ、二人はお互いの顔を見て笑って言い合った。
「美奈子お口の周り真っ黒よ」
「華奈子もよ」
 二人で笑って言い合う、見れば実際に二人の口の周りはイカ墨で真っ黒になってしまっている。
「カレーの時よりも凄いわよ」
「本当に真っ黒よ」
「早く拭かないと」
「そうよね」
「食べた後で拭けばいいわ」
 母は娘達に笑顔で話した。
「そうすればいいわ」
「うん、じゃあね」
「まずは他のお料理も食べて」
「それからね」
「お口の周り拭くわね」
「そうしなさい、けれどイカ墨を食べたらね」
 その時はというのだ。
「こうなることも覚えておいてね」
「本当に墨だから」
「どうしてもそうなるのね」
「お口の廻りには墨が付く」
「そうなるのね」
「そうよ、けれど美味しいでしょ」
 その味についてはまた娘達に聞いた。
「それは間違いないでしょ」
「うん、美味しかったわ」
「それは確かだったわ」
 二人もそれは事実だと言う。
「お口の周りが真っ黒になっても」
「それでも美味しかったわ」
「お口の周りが真っ黒になる位はね」
「何でもない位にね」
「そうでしょ、じゃあまた作るから食べたくなったら言って」 
 娘達にまたこう言った。
「作るからね」
「うん、じゃあね」
「他のスパゲティも好きだけれどね」
 それでもだ、はじめて食べたイカ墨のスパゲティは美味しくてだ。二人共母親に笑顔でこう答えた。
「イカ墨も気に入ったから」
「また作ってね」
「わかったわ、じゃあお父さんが帰って来たらまたスパゲティを茹でて」
 そうしてというのだ。
「お父さんにも食べてもらうわ」
「それでお父さんもお口の周り真っ黒になるのね」
「そうなるのね」
「皆そうなるのよ」
 イカ墨を食べればというのだ。
「それは同じよ」
「お母さんもお口の周り真っ黒だったし」
「お父さんもそうなるのね」
 一家全員がとだ、笑顔で言う二人だった。


第四百五十話   完


                      2017・5・26
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