489部分:第三十九話 幽霊、袁術を驚かせるのこと八
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第三十九話 幽霊、袁術を驚かせるのこと八
「今から用意するのね」
「はい、はじめましょう」
「私達で」
こうしてだった。彼女達は早速その準備に取り掛かるのだった。その時だった。
そしてである。この時だった。袁術は張勲と紀霊の話を聞いていた。その手には蜂蜜水がある。
その蜂蜜水を飲みながらだ。袁術は満足していた。そのうえで二人の話を聞いていた。
「あの、美羽様」
「南部のことは」
「お化けが出るから嫌なのじゃ」
袁術はその話が出ると急にその顔を青くさせた。
「絶対にじゃ」
「けれど退治されましたよ」
「それでもですか」
「そうじゃ、絶対にまだいるのじゃ」
また言う彼等だった。
「だから何があっても嫌なのじゃ」
「ううん、それなら」
「今は」
「ずっとじゃ。わらわは何もしないのじゃ」
こう言うのだった。
「お化けがいる場所には絶対に行かないのじゃ」
「それじゃあ仕方ありませんね」
張勲もこう言うしかなかった。
「私もここはです」
「どうするのじゃ?」
「いえ、何もしません」
こう言うのであった。
「そういうことで」
「あの、七乃さん」
紀霊が難しい顔で張勲に話した。
「それでいいんですか?」
「はい、いいです」
いいというのであった。張勲の言葉は平然としている。
「何の心配もいりませんよ」
「美羽様はどうも」
ここでまた話す紀霊だった。袁術にも聞こえるように話している。
「怖がり過ぎですよ」
「それは違うのじゃ」
袁術は必死に強がって話す。
「わらわはじゃ。怖がりなのではない」
「妖怪がいても私達が相手をしますが」
「それでも嫌なのじゃ」
駄々をこねるようにして主張する。
「お化けとか幽霊とかの話はするななのじゃ」
「そうですか」
「左様、ではこの話はこれで終わりじゃ」
話を強引に終わらせた。
「よいな」
「はい、わかりました」
「そうですか」
張勲の声は明るく紀霊のそれは暗いものだった。だがこれで話は確かに終わったのだった。少なくとも袁術はこう考えた。
しかしであった。その時劉備達はだ。準備に余念がなかった。
「なあ朱里」
「はい」
馬超が孔明に声をかけていた。
「こんなんでいいのか?」
「あっ、ばっちりですよ」
見れば馬超は髪を解いてそのうえで白い服を着ていた。そして頭には三角の布がある。
「神楽さんが仰った通りです」
「だといいがな」
「はい、とても奇麗ですし」
「いや、奇麗っていうのはな」
馬超はこう言われて顔を赤くさせた。
「それはいいけれどな」
「いいのですか」
「けれどあたしはこれでいいんだな」
「はい」
孔明は笑顔で馬超に対して頷いた。
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