意外な攻略法
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・・いや、動物から物体まで見極めることが可能だった・・・しかし、今彼が戦っている相手は全く動きを見極めることができない。筋肉の動きから推測される動きと、実際の動きが微妙にずれているのだ。
(男から女にされているから?いや、最初のブレスは見極められたからそれはない。ではなぜ・・・)
いくら考えても結論にたどり着くことができない。敵の動きを正確に把握できる分、わずかにズレるそれが彼の思考を鈍らせ、動きを悪くし、結果さらなる悪循環へと陥っていた。
「仕方ない。まだ早いが・・・あれを使う」
劣勢に立たされ、勝敗が決するのも時間の問題かと思われた。しかし、ホッパーが突然目を手で塞ぐと、彼の体から一気に魔力が放出される。
「「「うわああああ!!」」」
あまりの魔力の放出に戦っていた少年も、見守っていた少女たちも吹き飛ばされる。
「いってぇ・・・」
壁に衝突し、頭を押さえながら体を起こすシリル。先の衝撃によってボヤけた視界を正すべく、頭をブンブン振った彼は自身を吹き飛ばした人物を見据える。
「さぁ、ここからが本番だ」
その人物は先程と姿が変わっていた。いや、正確には体のある一部だけが大きく変化していた。
「なんだ?あの目・・・」
先程までの青年の、通常の目から一転、充血したかのような真っ赤な強膜とオレンジ色の瞳。それはこの世のものとは思えないような、異常な雰囲気を醸し出していた。
「これは私が師匠に教えてもらった力。全ての身体能力を向上させることができる」
バカ正直に力を説明するのかと疑問に思ったシリルだったが、その言葉に偽りがなく、魔力が遥かに膨れ上がっていることに気が付く。絶対に破られない自信があるから能力を語れるのだと、少女はすぐに悟った。
ヒュンッ
変化した目を大きく開いた瞬間、シリルの視界から敵が消える。
「ぐあっ!!」
そしてその直後に襲われる激しい痛み。その理由は、ホッパーが高速移動して拳を叩き込んできていたからだった。
「あいつ超速い!!」
「シリルが追い付けないなんて・・・」
シリルは滅竜魔法の魔水晶を目に入れているため、通常の滅竜魔導士よりもさらに目がいい。それなのに、今の青年の動きは反応することができなかった。
「ゴフッ・・・」
思わず膝をついたシリルにさらなる攻撃を放とうとしたホッパー。しかし、突然彼が口を押さえる。彼は誰からも見えないように手のひらを見ると、そこには鮮血がこびりついていた。
(持ってあと数分・・・急がなければならない)
ホッパーがこの奥の手を出さなかったのは、肉体的に大きなダメージがあるため。できることなら、この技を使わずに仕留めたかったのが彼の本音
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