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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第九十四話 ラインハルトを守ります!!(前編)
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まりもない。誰もが祈る思いでその場に立ち、声をからして指示を送っていた。その一人がはっと息をのみ、振り返りざまに叫ぶ。
「雷撃艇です!!」
とたんに新たな震動が襲ってきた。まるでこちらの動向を知ったかのように敵が次々と雷撃艇を送り込んできたのだ。これを迎撃するラインハルト本隊のワルキューレ部隊は相次ぐ戦闘で疲弊しながらも最後の力を振り絞って迎撃に当たった。
「対宙砲撃!!弾幕を形成し、敵を近づけさせないで!!」
満身創痍のヴァルキュリアは全身をハリネズミのごとく武装させ、全弾をあらゆる方向に放ち続けた。

だが――。

敵の砲撃は苛烈だった。ヴァルキュリアの全方位自動迎撃システムをもってしても対応が追い付かないほどの攻撃を受けたのだ。
「ヴァルキュリアを守れ!!」
「させるかよ!!」
「危ない!!」
ワルキューレのパイロットたちは死に物狂いで雷撃艇を迎撃し、あるいは対艦ミサイルなどを全力を挙げてこれを撃墜しようと奮闘していた。だが――。
「雷撃艇から多数ウラン弾発射されました!!迎撃、間に合いません!!」
死の天使の飛翔するがごとく、ウラン弾が漆黒の宇宙を背にしてやってくる様子が誰の脳裏にも描かれていた。
「総員!!対ショックに備えッ!!」
艦長が声を上げる。これまでか・・・!!とイルーナは思った。こんなところでラインハルトを死なせてしまうなんて!!それもこれもすべて補佐をすべき自分が不甲斐ないせいだ。

せめてこの身を挺してでもラインハルトを庇う。そう決意したイルーナは彼の前に立ちはだかった。だが、彼女の身体はラインハルトの手によって引き戻されていたのである。
「指揮官たるものは常に敵の前に胸をさらす。そう教えてくださったのは他ならぬ姉上です。姉上の気持ちには感謝しますが、私は卑怯者にはなりたくはない。」
そう言うと、彼は敵弾の飛来する方向に胸をさらしたのである。

その時信じられない事が起こった。

轟音とともにヴァルキュリアが震動したが、それは直撃を受けたからではない。だからこそ誰もがその光景を見ることができ、そして、誰もが自分の眼を疑っていた。

一隻の戦艦がヴァルキュリアの前にその身を躍らせていたのである。
「スレイプニル・・・!!ジェニファー・・・・!!」
ローエングラム陣営の参謀総長が二つの決定的な単語を紡ぎだしたのはその直後だった。


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