ホープレス・チャント-Love your enemies-
開演
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つも背中を叩いて発破をかけてくれるのは、俺ではなくリズの役目であったが、たまには逆の立場になっても構わないだろう。ただしリズはそんなことは夢にも思っていなかったのか、いつも自分がやっていることにもかかわらず、目を白黒とさせていたものの。
「……ねぇ。気合いを入れるにしては、ちょっと威力が低いんじゃない?」
「あいにく、経験が少ないからな。力加減が上手くいかなかった」
すぐに軽口で返してくるリズの様子を見るに、どうやら目論見は成功したらしく。珍しいこともたまにはやってみるものだ、といい気分のまま言葉を返して――しまった。その返答は悪手だと気づいた時には、時すでに遅く。
「へぇ……じゃあ、お手本をみせてあげるわ!」
気づけば背後に回り込んでいたリズの手のひらが、気合いを込めるように背中に炸裂する。本職だけあって絶妙な力加減の一撃だったが、やはり事前の通告は必要だ、という文句を言ってやろうと振り向けば。
「どう? あんたも気合い入った?」
「……おかげさまで」
俺にとっては太陽のような笑顔を浮かべる彼女を見れば、そんな文句など雲散霧消してしまう。そうしてお互いに気合いを込めた後は、再び並び立って歩き出していく。こんなナイスな展開がいつまでも続くようにと、心の底から祈りを込めて。
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