ホープレス・チャント-Love your enemies-
開演
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、怪訝な表情でこちらを見つめてきていて。多少ながらばつが悪いものの、特に隠すわけでもないと語りだした。
「ああいや、俺とリズはさ、アインクラッドにいた時は、48層がプレイヤーホームだったから」
第48層《リンダース》。その郊外に流れる川のほとりに、かつての《リズベット武具店》は構えられていて、心地よい水車の音が木霊する静謐な場所だった。その隣に俺も《SAO》後半からはプレイヤーホームを建てていたものの、使っていた時間が僅かな上にほとんど寝に帰っていただけのため、正直に言えばプレイヤーホーム自体はあまり印象に残ってはおらず。どちらかと言えば、リンダース全体の雰囲気の方が思い出深い。
「…………」
つまり重要なのは、ここしかない! とまで思って、あの店を買って、数えきれないほどの思い出があるリズの方で――チラリと、気づかれない程度に彼女の方を向いてみれば、過去を思い出すかのように遠くを見つめていて。そんなリズの様子に、知らず知らずのうちに拳に力がこもっていた……俺を見て、レインは面白そうに笑っていた。
「そっか。じゃあ、頑張らなきゃね」
「あー……ああ」
「ええ! みんなにもバリバリ協力してもらうんだから……って、どうしたのよショウキ」
そんな恥ずかしい様子を見られて髪の毛を掻いていた俺とは対照的に、遠くを見つめるのを止めたリズは、いつも以上にとても朗らかでいた。しかしてニヤニヤと微笑みを浮かべつつ、何も言わずに赤面するこちらを見ながら仕事に戻っていくレインを見ると、何を察したのかこちらをジト目で見てきていて。
「ちょっと、レ……あら?」
そんな気恥ずかしい雰囲気を打ち破ってくれたのは、どこかから流れ出したセブンの曲の着メロだった。しばしメロディーを聞いていたが、俺とリズは神崎エルザの曲を設定しているため、残るはもちろんルクスの携帯からで。
「あ、ごめんなさい。電話が――」
『ねぇルクス! 見た? 見たでしょ、アインクラッド開放の話!』
そうしてルクスが電話に出なから立ち去ろうとした瞬間、どこかに歩いていく暇もなく興奮した少女の声が響き渡った。電話先のことを考えられないほどに熱狂しているのか、困り顔のルクスに構わずマシンガントークが放たれていくのが、対面の席に座っている俺にも分かる。それは隣に座るリズは尚更だろうと、ため息をつきながらルクスから携帯を取りあげると。
『あのフィールドがどんな風にリメイクされたか、二人で見に行きましょうよ! それから――』
「はいはい、嬉しいのは分かったから。電話はもっと静かにね、グウェン」
『――へ?』
思っていた者と違う声で応じられたのか、電話の主――グウェンがすっとんきょうな声をあげて。対してリズはそんな声を聞いて
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