暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
ホープレス・チャント-Love your enemies-
開演
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もちろん醤油や胡椒、倒れたゴブリンすでに机から消えていて、ちゃんと清潔な机が姿を見せていた。ただしミニマム俺たちだけは机に残っていて、レインが持ってきた三つのショートケーキに、それぞれ駆け寄っていく……それはまさしく、自分たちの好みのものであって。

「ほら、可愛いでしょ?」

「まあ、ミニキャラは……うん」

「い、いただきましょう!」

 ゲームの出来自体はともかくとして、そこだけはリズも認めざるを得ないようで、消えていくルクスのミニキャラを惜しそうに見ていたが、その視線を遮るようにルクスが三人にケーキを配っていて。《オーグマー》の思考を読み取る機能に嫌な思い出がないわけではないが、まあケーキの好み程度ならば便利なものだ――と、自分に言い聞かせていると、そんな《オーグマー》によって、視界の端に新たなニュースが表示された。

「それでは、ごゆっくり――」

「ん――これは……」

「いただきま……えっ!?」

「え? あ……!」

「……ど、どうしたのかな?」

「どうしたもこうしたもないわよ!」

 レインからしてみれば、ケーキを食べようとしていた三人が突如として視界の端を向くと、驚愕とともにフォークを置いたのだから気にもなる。対して興奮冷めやらぬリズは素早く《オーグマー》の広告を可視化したものの、そもそも《オーグマー》を装着していないレインには、拡張現実に映る広告を見る手段はなく。それにレインも気づいたのだろう、ポケットから業務用らしき《オーグマー》を取り出すと、装着してその広告を目の当たりにする。

「グランドクエスト……第二弾?」

「そっちも楽しみだけど、あたし的にはやっぱこっちよ!」

 その広告とは、《ALO》の運営からの、かつての世界樹攻防戦に続く第二弾グランドクエスト開始のお知らせ。先の《オーディナル・スケール》の人気により、ずいぶんと延期されていたが、学生の夏休みに合わせたこのタイミングの告知と、どうやらここでユーザーを取り戻そうとしているらしい。

「アインクラッドを50層まで開放……!?」

「《ALO》も、思いきったことをしましたね……」

 そうしてグランドクエスト第二弾の一環として、アップデートが止まっていた浮遊城《アインクラッド》の50層までの開放。先に開放されたのは年末に30層までということで、これから長く長く続いていくだろうグランドクエスト開始の幕開けには、ややオーバーすぎる程であるだろう。

 さらにアインクラッドの開放においては、俺やリズには新たなクエストの始まり以上の価値があり、気づけば小さく呟いていた。

「50層まで、か……」

「ショウキくん?」

 その呟きを聞かせるつもりはなかったが、不覚にもレインに聞かれてしまったらしく
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