ホープレス・チャント-Love your enemies-
開演
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オーディナル・スケール》のデータでも流用したのか、武器もそれぞれ愛用のものを持っていて。とはいえ自由に動かせるわけではないらしく、俺の目の前には行動を決定するメニューが表示されていて、どうやらシミュレーションゲームのような様相を呈しているらしい。
「やだっちょっとチビルクス可愛いじゃない!」
「そっ、それより……これは、あの旗を取ればいいのかな?」
そうして机の端に立ったミニマム俺たちと違って、机の中央にはビーチフラッグがごとく旗が置かれていて。ただし旗を取りに行くといっても容易いことではなく、辺りには番犬のようにミニマムゴブリンが巡回している。あのゴブリンたちの防備を突破しつつ、中央の旗を取りに行く、というゲームらしい。
「んー……シミュレーションはどうもねぇ。二人は?」
「未経験」
「私も、あまり……」
「アスナ辺りいれば違ったんでしょうけど……まあ、とりあえず動かしてみようかしら」
未経験のジャンルに顔をしかめる三人だったが、ひとまずリズが行動あるのみと自分のコマに進むよう指示を出す。すると机の上のチビリズが旗に向かって一歩ずつ歩き出していき、メイスも構えてやる気充分といった様子で鼻をならしていた。その再現度の高さに思わず感嘆しそうになったものの、机の上ではそれどころではない事態が起きようとしていた。
「リズさん!」
「えっ?」
ずんずんと進んでいくミニマムリズだったが、旗を中心としてある部分に足を踏み入れた途端、近くのゴブリンがリズの方にグルリと向き直った。そのまま勢いよく三人ほどの集団で襲いかかって来ていて、本物のリズとミニマムリズも同様の驚愕したリアクションを取った。
「ちょ、ちょっと! 索敵範囲が広すぎない?」
リズがすぐさま離脱を選択したことで、その索敵範囲から離脱することに成功したのか、ゴブリンたちはリズを追うのを止めて旗の巡回に戻る。ミニマム俺たちがどれだけの戦力かは分からないが、ゴブリンの集団に力づくで勝てるゲームバランスではないだろう。
「これは……正面からは難しそうね」
リズの言う通りとはいえ、ミニマム俺たちにスキルと言ったようなものはない。それらがあればスキルを駆使するゲームとでも思えたのだが、やはり何度も確認しようがそんなものは見当たらずに、ならばどこかに打開策があるはずだと見渡してみれば。
「あれ……そこの調味料、ARになってないか?」
「え? ……あら、本当ね」
最初に不信感を覚えたのは、机の端に置いてあった調味料が同じ場所に置いてあるメニュー表に比べて、微かな違和感を感じたことだった。言われてみれば、とリズが試しに醤油差しを持ってみると、リズの手の内と机の端に二つの醤油差し
が出現した。リズの手の内にあ
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