暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王〜反逆の龍と英雄(ヒーロー)使いの少年の物語〜
第1話:二人の少年の日常

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「……暇だ!」
「急にどうした!?」

 突然、叫び出した少年―――『(ひかり) 正彦(まさひこ)』の言葉に、隣の席で座っていた少年―――『高山(たかやま) 兵吾(ひょうご)』は正彦に問い掛けた。

「どうしたもこうしたも、最近、めっちゃ暇なんだよ!」
「そんなこと言われても仕方ないだろ?それよりさっさと、そのレポートを終わらせろ」

 兵吾の指摘に正彦は何故わかった、と言わんばかりに驚き、それを見た兵吾は呆れて溜め息を吐く。

「クソ!何でこの学校にはレポートと言う名の残業があるんだ!鬼か?それとも、俺に対する当て付けか?」
「それが学生の本業だからだよ。それと、下らん娯楽を並べずに、さっさと、そのレポートを終わらせろ」

 兵吾の厳しい言葉に正彦は体の上半身を机の上にぐったりし、口をタコに近い口にし、困った顔をしながら一言、兵吾に言う。

「そう言うが、さすがに今回のは厳しい……」
「何を言う?さっさの3枚だぞ?いつもなら軽く10枚は越えている」
「それもそうだが、問題なのは量じゃなくて今回のレポートの“テーマ”だよ」

 その言葉に兵吾は納得した。
 この学校のレポートのテーマはいつも目的と理由を書くように教師から言われているが、今回はそれがない。
 目的と理由がないと言うことは日記みたいに軽く何かを調べて、それらをまとめて書くのか、と言われれば、それは違う。
 目的と理由を自分達で考え、行動し、それらを3枚でまとめて提出。所謂、自由テーマである。
 自由テーマと聞けば、誰もが自分が書きたいものを書ける。そう考える人が多いが、正彦と兵吾の二人はそうじゃないと、気づいている。
 自由テーマは確かに簡単だ。だが、問題なのはその目的と理由を書くのが難しい。
 多少矛盾しているが、この学校は生徒の約半数以上が、社会に出る。このレポートはそのための予習だ。

「それにしても、どうしたものだ……」
「まぁ、気ままに考えろ。時間はまだたっぷりある」
「応援してくれるのは有り難いが、少しは手伝って……」
「悪いが断らせてもらう」

 その言葉に正彦は半分諦め、レポートの作成に手をつける。

 それを見た兵吾は最初からそうしろよ、と言わんばかりに脳裏でそう思い、本を取り出し、読み始める。



 因みに兵吾は正彦に会う前にレポートを提出し、正彦は提出期限ギリギリでレポートを完成し、提出したのはまた別のお話。



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