暁 〜小説投稿サイト〜
グランドソード〜巨剣使いの青年〜
最終章
最終節―全ての救い―
ハッピーエンド
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い忘れていたよ。

 修復された元ウィリアムの体は、スキルや諸々が全て失われているらしくただの鋼の妖精(ヒューマン)に戻っている。
 その上ステータスやらも、もう開けなくなっているらしい。
 だから、俺はいわゆる“初期化”された状態と同じ。

「―――ウヤ!」

 ……そして、人間ではなく妖精の器に入ったことで俺は“二度と元の世界に戻れない”。
 だから、妖精である俺が今いる場所、そこは――

「――ソウヤ!!」

 ――FTW(ここ)ってわけなんだ。

「あぁ、聞こえているよ。皆」

 身体能力も凡に戻っているし、スキルも全て失われている。
 ……初期スキルさえ失っているのはどうかと思うが。
 というか、これ初期化よりも酷くないか?

 ――いや、まぁそんなのは関係ないか。
 今は会いたかった仲間に、もう一度会える……それだけで十分。
 やりたいことはやった、願ったことは叶った。

 これが、俺の“後悔しない道(ハッピーエンド)”。

 悔いはない。
 だから只、俺が出来るのは“今を突っ走ることだけ”!




「母さん!」
「――アナタ、どうかしたの?」

 とある世界、とある場所、とある家の中。
 そこには夫婦“だけ”が住んでいた。

「これを見て!」
「……もう、何よ」

 唯一愛する息子が10万人にも及ぶ意識不明の重体を起こす事件に巻き込まれ、つい先日その9割方は戻ってきたというのに、未だ息子は戻ってこない。
 しかも、その肝心の息子の体さえもどこかへ消えてしまっていた。
 そんな状態で心を痛めていた妻を、夫は気にすることなく慌てている。

 夫が手に持っているのは何かの紙……手紙かなにか。
 目を腫らしながら、夫の持つ手紙を受け取りその表紙を確認してみて――

「…ぇ」

 ――自身の瞳孔が大きく開くのを感じた。

 ―父、母へ―

 そんな文字で書かれた右下には、こう書かれていた。

 ―斑斗蒼也―

「蒼也…!?」
「そうなんだ、アイツの部屋に入ったら机の上にこれが……!」

 慌てて手紙の封筒を破り捨て、中身を広げる。
 それは、蒼也の字で綴られた両親に対する手紙だった。

―拝啓。
父さん、母さん。今、二人とも驚いていると思います。だって息子が意識不明に陥って、そしてその身体さえ消えてしまっていたから。
驚かせて本当に反省しています。これからのことも、今のことも、謝りたいことはたくさんあります。けど、それはもう出来ないことになってしまった。俺は今、違う世界で生きています。そこでは辛いことや、悲しいことが一杯あったけど、なんとか生きています。だから、父さんや母さんに謝りたくて、自分は生きているのだと伝え
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