最終章
最終節―全ての救い―
ハッピーエンド
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”も度が過ぎればただの枷になる。
捨てる“モノ”も度が過ぎればただの枷になる。
彼はただの“人間”で、彼はただの“生命”だ。
――全てを救うなんて、余りにもガラじゃなかったんだ。
「それが本当の“君が後悔しない道”なのかい?」
だから、僕は君に反旗を翻す。
手が無くとも、意志は残っている。
足が無くとも、精神は残っている。
力が無くとも、後悔は残っている。
「Ah――aaaaaaa…!」
数秒ぶりに体を奪い戻した僕の瞳が見たのは、変化しようとしている蒼也君の姿。
生命らしくない絶叫を上げ、身に纏う神気は軽く“全て知り全て能う存在”を越えている。
だって、彼は“概念”になろうとしている。
だって、彼は“理念”になろうとしている。
だって、彼は“人理”になろうとしている。
だって、彼は“歴史”になろうとしている。
それは“第一のデウス”にさえ出来なかった…いや、思いつかなかった偉業。
世界丸ごと1つ、自身の精神と体を犠牲に救おうって話なんだから。
簡単に言えば、今彼は本当の“全て解り全て与う存在《全知全能の神》”になろうとしている。
全て“知る”のではなく“解る”。
全て“能える”のではなく“与える”。
本当の“カミ”に彼はなろうとしているのだ。
それは彼が世界を救う為に背負った“呪い”。
それは彼が世界を救う為に支払った“呪い”。
それは、ただの人間が世界を救わんと手足に縛った枷。
「皆は良いかもしれない。でも、それで君は良いのかい?」
後悔したくない、なんていいながら彼はこんなところまで来た。
“世界を救う”なんて、それじゃあただの偽善だよ。
“蒼也も救う”じゃなきゃ、完全完璧な善いにならない。
「君の、ただの独り善がりに世界を巻き込むつもりなのか?」
“完全な終わり”ってのは、そういうもんじゃないのか。
結局、誰も死ぬことは無く誰も不幸にならない。
倒されるのは完全悪である僕ただ1人、そういう“物語”だったはずだ。
「…本当に、“主人公”に向きすぎてイライラする」
彼は生まれる場所を絶対に間違えている。
生まれるのなら、地球の紀元前3000年ぐらいじゃないとその気質は十全に使えない。
“人を護る”ことに彼は余りに向いている、“人を救う”ことに彼は余りに向いている。
だから、こんなふざけた選択なんて出来てしまう。
だから、僕は英雄である君に少し嫉妬してしまう。
「だから、僕は“君に成る”よ」
今、彼の
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