最終章
最終節―全ての救い―
その体において弱者、敗者
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の矛盾を蒼也は嫌う。
息を切らし、その顔を苦渋と憎悪で覆い…今どの存在よりも真っ直ぐな瞳で蒼也を見るウィレスクラ。
彼が行ったのは“最低”であり、“災厄”だ。
けれど、今の彼の気持ちを蒼也は蔑ろに出来ない。
――それが、強き者の“宿命”だから。
――それが、弱き者の“呪い”だから。
「だから来い、弱者。中途半端な力で来るんじゃない。お前の全力、その全てを俺にぶつけろ」
「は、はは…。本当お人よしで…イラつくよ、蒼也君」
彼の恐怖を変えよう。
彼の悲哀を変えよう。
彼の慟哭を変えよう。
彼の暗闇を変えよう。
そして、自分という巨壁を越えて見せろ。
そうすることで、ウィレスクラは初めて敗北者となり…己を鑑みることが出来る。
「『我が名は下剋上。常に弱者であり、常に勝利者である」
常に見上げ、常に羨ましい。
常に勝利し、常に蔑まれる。
一人も理解者はなく、一人も同情者はない。
故に常に一人であり、故に常に独りである。
「何度も這い上がろう。何度も上り詰めよう。それが我の“宿命”」
才能で全てが決まる神。
才能で役割が変わる神。
才能で上下が決まる神。
――そんなの、認められない。
認めて、たまるものか。
「憎まれようとも、恐れられようとも、我はただ上り上がるのみ』」
他者から負の感情を向けられるのを代償に、勝利者となる禁呪。
その名は――
「――力を寄越せ、生者。『負よ、勝利を我が手に』…!」
―これが、始まりだった。
その異常な力の高まりを感じながら、蒼也は想う。
異世界へと飛ばされ、死の恐怖に囚われながらも無視し、“最強”へと至る道を選んだのが、初めての“あの技”だった。
あれを機に、多くの災厄が蒼也のもとへ集い、その全てを蒼也は打ち払ってきた。
その果てに見るのは、原初の光。
―あぁ、そうか。お前だったんだな。
溢れ出す力を全て手に持つ神剣へと込めることで、神剣は巨大化していく。
それは、正に“巨剣”だった。
ようやく蒼也は理解する。
―お前が“巨剣使い”の元だったんだな。
「ソウヤ――――!」
巨剣化した神剣を手に、漏れ出しそうなほど不安定な力を手にウィレスクラはやってくる。
凄まじい力、それには誰も追いつけない…扱う自身でさえも。
―…苦しいんだろう?ウィレスクラ。
それは何かの間違い。
たまたま生まれてしまった“下剋上の神”。
彼は“下剋上を司る”者として、神として生まれ
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