最終章
最終節―全ての救い―
”鎖”と”枷”
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まだ終わらないのだと。
「僕にだって、神が在ってから初めて“下剋上”を行った神だ。だからこそ譲れないものはある」
「…あぁ、わかっている」
神となった蒼也にはわかる。
想像以上に、この“神”という存在は凝り固まっていた。
普通の生物ならば、才能の差は努力によって埋められることもあるだろう。
そう、蒼也が“妖精”から“偽りの人間”となり、“本当の人間”を越えて“全て知り全て能う存在”となったように。
けれど、神の世界ではそれは成立しない。
それぞれが確立した能力を持ち、確立した立場にある。
能力を蔑ろにすれば、立場を蔑ろにすれば世界の状態がより不安定に近づいてしまうのだ。
だからこそ、神として在る者はその才能によって全てが決定してしまう。
努力“しない”のではなく、努力“出来ない”。
生まれた瞬間から存在意義が決定され、個として完成してしまう神はそれ以上にもそれ以下にも成れないのだ。
「全部、お前の気持ちもわかるよ。だからこそ、“不可能”を“可能”にしたお前は素晴らしい存在だ」
けれど、と蒼也は続ける。
「ウィレスクラ、お前は生命を蔑ろにしすぎた。上を目指すことしか考えぬが故に、下に在るものを本当に知ろうとしなかった」
――だから、俺はお前を絶対に許さない。
明らかな敵意で睨み付けられるウィレスクラは、大きくため息をつくと玉座から立ち上がり白銀に光る剣を生み出した。
「僕にだって譲れないものはある。それが“世界神の座”だ。決して勝てないとしても…僕は蒼也君に立ち向かうよ」
「…あぁ、それで良い。それでこそ“下剋上を司る神”だ」
蒼也はソウヤの手が握っている雪無を握りしめると、ウィレスクラに向けた。
すると、刀身が折れ、吹き飛んだ部分が粉々に砕けてしまった雪無が唐突に極光を放ち、震え始め砕け散る。
「我が剣は君臨する者を穿つ刃」
「我が剣は無限に強化される刃」
その剣はかつて“世界神”を傷付け、その血を浴びた。
その剣がかつて人、魔族、天使、神…全てを傷付けた。
「――世界を統べる神よ、死に給へ」
「――永久に強く在れ、全傷の剣よ」
彼が持つのは“神器”。
世界の法則さえ変えることができ、下手をすれば世界そのものを破壊しかねない…神にしか持つことを許されぬ武器。
彼が持つのは“虚剣”。
全て触れることは叶わず、全て拒むことは叶わず、全て受け入れることも叶わない。
もうあ
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