暁 〜小説投稿サイト〜
グランドソード〜巨剣使いの青年〜
最終章
最終節―全ての救い―
圧倒的敗北
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ヤはここにきて初めて知ることになる。

 ―駄目だ、敵わない…!

「ん…?もう諦めるのかい、ソウヤ君?
――つまらないなぁ」

 刹那をおも超える間の中で、ソウヤは気付けば吹き飛ばされていた。
 全身は軋み、内臓は破裂しているのがわかるほどに、身体がダメージを受けていたのだ。

「がッ…!ぁ、っ……!」
「もう少し粘ってくれると思っていたんだけど、そこは期待外れだったね」

 あまりにあっけない。
 ここまでやってきた時間はなんだったのか。
 ここまで行ってきた努力はなんだったのか。

 ――ここまで殺してきた“モノたち”はなんだったのか。

 そう、こんなところで終わってはいけない。
 終わってしまったらなんと謝ればいいのか?

「『我、強き者。我の導きに答えよ。我、弱きを護る者。我の言葉に答えよ」

 その誓いはどこに行ったのか。
 その願いはどこに行ったのか。
 その求めはどこに行ったのか。
 その歩みはどこに行ったのか。
 その道はどこに続くだろうか。

 今までのソウヤに託された想いは、どこに行ったのだろう。

「我、汝の魂に誓い力を得ぬ。汝、我の声と共に黄泉へ逝け』」

 その恐怖を何とする?
 その悲哀を何とする?
 その慟哭を何とする?
 その暗闇を何とする?
 その巨壁を何とする?

 それを全て変えるのだと、破壊するのだと言ったのは誰だ。

 託された想いを強さに変えるのではなかったのか。
 それが、“強者”の宿命ではなかったのか。
 それが、“弱者”の呪いではなかったのか。

 だからこその“呪いの文(呪文)”ではなかったのか!

「――力を貸せ、亡霊。『亡霊解放(エレメンタル・バースト)』…!」
「…へぇ、今まで殺してきた全てを解き放ったんだね。…凄い力だ」

 粉砕された骨が、潰された内臓が、軋み肉体が、それを上回る力で強引に修復されていく。
 だがそれは治療ではなく“力の上塗り”。
 この『亡霊解放』が切れた瞬間、ソウヤの肉体は負荷に耐えられず粉々に砕け散るだろう。

 けれど、死にはしない。
 ならば大丈夫だ、問題はない。

「お前だけは、生かしてはおけない!」
「あぁ、君は“それ”でいい」

 あぁ、倒さなきゃ。

「お前だけは、倒す!」

 あァ、タオさなきゃ。

「お前だけは、“殺す”!」

 アァ、コロサナキャ。

「ガアアアァァァァッ!」

 脳が沸騰するような痛みに襲われながら、ウィレスクラの元へ突撃するソウヤ。
 その速度は光速にまで至り、振るわれる雪無は見事世界神の身体に傷をつけ――

「“その方”が対処しやすいからね」

 ――ることは叶わなかった。

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