478部分:第三十八話 袁術、劉備達と会うのことその十
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第三十八話 袁術、劉備達と会うのことその十
剣は劉備に返された。大ぶりで黒い柄と鞘である。所々に金が施され赤や青の宝玉もある。実に見事で華麗な装飾であった。
その剣を見てだ。孔明が言った。
「はわわ、これは」
「そうよね」
鳳統もだった。
「かなり凄い剣ですよ」
「装飾だけでもかなりの価値があります」
「わらわもこれ程までの剣は見たことがないぞ」
袁術も言う。
「手放すのが惜しいがまあ致し方ない」
「袁術さん、有り難うございます」
「礼はよい。ただしじゃ」
「はい、ただしですね」
「化け物を退治できなかったらじゃ」
「その時はですね」
「わらわのものとなるぞ」
このことを念押ししてだった。そのうえで袁術は剣を手渡したのだった。そうしてそのうえでだった。
劉備達は化け物退治に向かった。その道中関羽と飛は浮かない顔だった。その彼女達を見て黄忠と馬岱がひそひそと話をする。
「二人共何か様子がおかしいわね」
「そうですよね。どうしたんでしょう」
「化け物も山賊も同じなのにな」
馬超はこう考えていた。
「それでどうしてなんだ?」
「まあ行ってみればわかる」
趙雲はわかっていて言わなかった。
「そこにな」
「そうなのね」
「お化けの前でってことね」
「何かよくわからないけれどそうなんだな」
「その通りだ。では先に進もう」
「それにしてもですね」
孔明は明るい顔であった。
「剣を返してもらったのは成功でしたね」
「うん。やっぱり西瓜をあそこで出したのがよかったかも」
「そうよね。最初に出すのじゃなくて」
「状況をあえて見計らって」
二人はそうしたのである。
「あそこで出して」
「それがよかったわね」
「作戦成功ね」
神楽もその二人に言った。
「お陰で剣は手に入ったわね」
「はい、ただお化けを倒せないと」
「同じです」
「そういうことね。けれどお化けなら」
「ミナさんは倒せるんですね」
「ええ」
こう月に答えるミナだった。
「弓で。それは」
「そうですか。それなら大丈夫ですね」
「ただ」
「ただ?」
「若しも人がしていたのなら」
ミナは既にこの場合を考えているのだった。
「少し厄介なことになるわね」
「人ならばですか」
「そういうことも有り得るから」
ミナは話す。
「だからその時は」
「その時はです」
月の顔が厳しいものになった。そうしての言葉だった。
「賊ならば退治するだけです」
「そうね。そうするしかないわね」
神楽も月のその言葉に頷いたのだった。
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