暁 〜小説投稿サイト〜
グランドソード〜巨剣使いの青年〜
最終章
2節―反逆決戦―
真実と違和感
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て辛かった結果が、精神の崩壊。
 結局仲間に打ち明ける事をせず、溜めこみすぎた結果の代償だ。
 でも、今となってはそれも“よし”と思えてしまう。

 だからソウヤは「でも」と言葉を続ける。

「この運命()は俺に大切なものを知らしめてくれた」

 “俺は努力をしていなくて、それを周りのせいにしてただけだった”。

 今まで辿ってきた運命という道は、それを何よりソウヤに教えてくれたのである。
 才能があっても伸ばそうと努力をしてこなかった自身に、そんな大事な事を気付かせてくれた。
 ただそれだけは、ソウヤにとって嬉しいこと。

「この運命()は俺に大切な人達と出会わせてくれた」

 きっとただこの世界に来ただけでは、出会うはずも無かった仲間たち。
 こんなダメダメな自分に信頼を寄せて、そして「好きだ」と言ってくれる仲間たちに出会えた。
 それだけでソウヤは救われる。

「俺はこの気持ちに嘘はつきたくない。だから、俺はお前を感謝すれこそ恨みも呪いもしない」
「私のせいで亡くなった人も多いわ」

 本当に自己中の神様なのかと疑いたくなるソウヤ。
 神話の神様なら「あれは仕方ない犠牲だった」で終わらしても、別段可笑しくないというのに。

「それは安心しろ」

 だからソウヤはヴェルザンディに親指を立てて見せた。
 怖いもの知らずのように口角を釣り上げ、ソウヤはめいっぱい嗤う。

「俺が、全部救ってやる」
「――――」

 ソウヤの言葉に呆けたようにヴェルザンディは瞬きをすると、いきなり吹き出した。
 笑いをこらえきれないという風なヴェルザンディは、涙を拭きながらソウヤに「そうね、貴方なら……」と期待の眼差しを向ける。

 きっとソウヤの言った言葉はただの強がりだ。
 全部救うなんて、それこそ神様でも不可能な大偉業なのだから。
 それでも、それでもとヴェルザンディは思ってしまう。

「最期に、貴方にピースを上げるわ」
「ピース……?」

 眉を潜めながらそう呟くソウヤに、ヴェルザンディは「そうよ」と言いながらソウヤに近づいていく。
 伸ばされた指先がソウヤの額に当たり――

「――――ッ」

 ――直後、多くの知識がソウヤに流れ込む。

 それは多くの世界の名。
 目が回るほどに多くの世界の名前がソウヤの脳裏に刻みこまれ、違和感に気付く。

「ヴェルザンディ、どうして“地球のある世界”の名前はない?」

 たくさんの世界には名前が在った。
 当然妖精の世界にも。
 けれど、“地球のある世界”には名前が無かったのだ。

 だがソウヤの問いにヴェルザンディは首を横に振るのみ。

「私までの階級じゃ、“考える事すら禁止”されているのよ」
「―
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