暁 〜小説投稿サイト〜
グランドソード〜巨剣使いの青年〜
最終章
2節―反逆決戦―
真実と違和感
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ないわ。それだけのことを、私は貴方にしたもの」

 ヴェルザンディが運命を定めたから、たくさんの人は傷付いた。
 ヴェルザンディが運命を定めたから、ソウヤは辛い思いをした。
 それは決して、許されてはならないもの。

「でもね――」
「?」

 それでも。

 ヴェルザンディが運命を定めたから、たくさんの人は救われた。
 ヴェルザンディが運命を定めたから、ソウヤは結果強く成れた。
 それは決して、間違いではなかったのだ。

「――私は貴方を選んで良かったと心から思うわ」
「――――」

 運命神とはいえ、彼女が操れるのは確定事項を決めつけたり大まかな世界の運命を定めたりする程度。
 ソウヤに対しては今、神界に居るからこそ名指しで細かく指定できるだけなのだ。
 心が折れたとしても、深く傷ついたとしても、立ち上がれるかどうかは運命を与えられた人のみが知る。

 ヴェルザンディにとってもそれはただの賭けだった。
 もし、ユニークスキルを付けたのが只の外道で戦いから逃げたりしたら。
 もし、定めた運命の先にちょっとした油断の結果で、死んでしまったら。

 それはサイコロで同じ数字を何度も同じにならないように祈るようなもの。
 極小の確立でも重ねて重ね続ければ、その確率だって馬鹿に出来たものじゃない。
 最後近くでソウヤの精神が崩壊したときは、心の底からどうしようかと悩みこんでしまったほどだ。

「辛かったでしょう、苦しかったでしょう」
「…………」
「恨むのなら運命()を恨みなさい。呪うのなら運命()を呪いなさい」

 何となく、ソウヤはヴェルザンディの性格を把握してきていた。
 神様らしく自己中で上から目線の癖に、運命によってあったであろう“もし”を壊してきた申し訳なさも持っている。

 きっと恨んだって誰も責めはしない。
 きっと呪ったって誰も責めはしない。
 けどそんなことより、何より言いたいことがあった。

「ヴェルザンディ」
「えぇ」

 この上なく真剣な表情でソウヤの言葉を受け止めるヴェルザンディ。
 一体どんな恨み言を言われるのだろう、とか考えているに違いない。
 何となく、普通に恨むのも負けた気になってしまう気がソウヤにはあった。

 だから――

「ありがとう、俺を選んでくれて」
「……ぇ」

 ――ソウヤは感謝する。

 自分を選んでくれたことに、自分をこの運命に引きずりこんでくれたことに。
 その呆けた表情を見せてくれる、というなら幾らでも感謝もしよう。
 確かにソウヤが感謝しているのは間違いではないのだから。

「確かにこの運命()は辛かったし苦しかった。多くの痛みを負ったし多くの悲しみを背負った」

 苦しく
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