暁 〜小説投稿サイト〜
グランドソード〜巨剣使いの青年〜
最終章
2節―反逆決戦―
全ての運命
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る際に名前が居るのは道理でしょう?」
「あぁ、確かにそうだな」

 神様と言えど、そこまで多くの世界の管理を行うのはかなり骨が折れるのだろう。
 しかも“世界”というのは宇宙のことではない、“宇宙より広い概念”だ。
 地球のことを惑星というように、宇宙より遥か広がっている壁のない場所全てを含めて、世界と名付けている。

 女性の説明に納得して頷くソウヤに、「さて」と女性は周りを囲むディスプレイを消失させた。
 その瞳に明らかな敵意を宿しているのを感じ、即座にソウヤは雪無を抜く。

「まずは自己紹介させてもらおうかしら」
「――――」

 その身に溢れるのは神の力……神気。
 普通の人は当然、熾天使でさえもそれに中てられれば膝を屈してしまうほどの神聖な力だ。
 今、その神気をソウヤは全力で受けている。

 優雅に身に纏うワンピースの裾を掴み一礼をする女性は、こちらを見て目を細めて微笑む。
 その笑みは微かにも友好的な意志を感じられない。

「上級神が1柱、『運命を定めし神(ヴェルザンディ)』」
「運命神……!」

 ヴェルザンディ。
 それは北欧神話に出てくる、ノルンが1柱にして運命を操る女神の名だ。

 ―まさか運命神が出てくるとは……!

 自身が思っていたよりかなりの上級に属する神の登場に、ソウヤは冷や汗を抑えきれない。
 ソウヤは現状、1度も神と戦ったことは無いし神気を纏った敵だって一回しか戦闘をしていなかった。
 故に、初めて戦う“神”が運命神であることをソウヤは己の運命を呪う。

「ふふっ。貴方の“運命”、さぞや苛烈だったみたいね?」
「――お前、まさか」

 今までソウヤは多くの苦難と出会ってきた。
 転移された場所が『瞬死の森』だったり、その後“偶然にも”『軍勢の期』がソウヤの居る大陸に起きたことを始めとする数々。
 強大な敵と常に戦ってきたソウヤにとってそれは“不都合”な者が多く、数多くの戦いのせいでソウヤは最終的に精神が壊れた。

 ―その原因が、もし……もしこの目の前に居る神だというのなら。

 考えるだけで思うだけで、ソウヤの頭の中は沸騰しそうになる。

「ご名答、私が貴方の運命を決めたわ。……“辛かったでしょう?”」
「お前ぇえええッ!」

 ソウヤは我をも忘れかけながら、今までにないスピードでヴェルザンディの元へ突き進む。
 圧倒的な威圧を目にして、それでもヴェルザンディは笑みを消さない。
 ただ、掌をソウヤに向けて――

「“ソウヤは止まる”」
「ぇ……?」

 ――ただ、その言葉だけでソウヤは自らの体が止まるのを感じた。

 体が言うことを聞かない。
 重いのではなく、痛いのではなく、ただ動かない。
 まるでゲーム
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