最終章
1節―超常決戦―
あらゆる神話、あらゆる逸話
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幻想の中に描かれている竜や龍、ユニコーンは存在したというのか。
一振りで海を裂き、地を割る……そんな芸当が出来ていたというのか!
「――そして、君の世界の誰もが知る“エクスカリバー”さえ存在した」
「誰が、扱えるんだ」
人間は“鎖”が無い分、魔力を持たない。
だからこそ誰も強くは成り得なかったし、確かにソウヤの記憶にある元の世界と妖精の世界との戦闘レベルの差は凄まじかった。
今、その根底をルシファーによって崩されつつある。
「昔の人間だ、少なくとも昔の人間には魔剣や魔槍、そしてエクスカリバーを扱うだけの力が在った」
可笑しい、とソウヤは思う。
在り得ない、とソウヤは憤慨する。
信じられない、とソウヤは動揺する。
だって、ルシファーの話が本当ならアルティマースの言っていたことが嘘になる。
ソウヤの目にはアルティマースの想いは、確かに存在した。
疑うなんて端から在り得ない。
―けれど、アルティマースが言っていたことが嘘ならどうなる……?
そこまで強く成りえてしまうのなら、神をも脅かす存在になりかねない。
“鎖”が無いのだから際限なく強くなれる訳だし、エクスカリバーを持てるほどの人間が居たのだから可笑しくなかった。
考えがまとまらないソウヤに、ルシファーは口元を緩め溜め息をつく。
「今、君がすることは何だ?そうやって考え続けることか?」
「……違う、よな」
ソウヤ自身、泥沼にハマっていることを自覚していたのか、ルシファーの問いに即座に答えた。
顔を上げてソウヤは改めてルシファーを見る。
闇が強すぎるが為に天上に上り詰めた天使。
闇が強すぎるが為に人間を愛している天使。
醜くも美しく、そして正しく“生命”であった天使に、ソウヤは1つだけ言いたいことがあった。
「安心しろよ」
「――――」
お前が愛する人間は、人は、生命はここまで来られるのだと。
お前が愛する生命は神でさえ、打ち破ることが出来るのだと。
お前が敬う神様なんかに、俺たち生命は負ける訳ないのだと。
全身全霊の笑顔で、不敵な笑みで、調子付いて嗤ってソウヤはルシファーにそう告げる。
「それじゃあな、ルシファー」
告げるだけ告げて、ソウヤはルシファーの横を通り奥へ進んでいく。
その後ろ姿を見ることなく、ルシファーもまたソウヤと反対方向へ歩み始めた。
「君は、本当に“彼”に良く似ている」
―全てを救おうとする、救世主を目指すところがな。
闇を宿す天上の天使は願う、ソウヤが理不尽な卓上を引っ繰り返すことを。
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