最終章
1節―超常決戦―
あらゆる神話、あらゆる逸話
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君が大きく成長することを私は望んでいた」
―あぁ、確かにルシファーとの戦いは俺を成長させた。
ステータスを見なくても解かる。
今、ソウヤを取り巻く力は先ほどよりも膨れ上がっていることに。
熾天使と戦ってもその先へ進むことが無かったソウヤは、今ルシファーとの戦いによって大きく脚を進めた。
「私が出来る最大限は、君の成長と君に知識を植え付けることだけだ」
「知識……?」
どうして今になって知識が必要となるのか、ソウヤには分からない。
ウィレスクラはもう手の届く範囲に居て、奴を倒せば全てが元通りになる……そうではなかったのか。
「分からなくても良い、ただ記憶の底に置いていて欲しい。必ず君の、力になるはずだ」
そう言ってルシファーはソウヤの頭に手を乗せ、何かを流し込む。
―血、剣、盾、槍、弓、矢……光?
脳裏に焼き付くのは、円卓の騎士が体験したであろう戦いの軌跡。
血が流れ、剣と盾がぶつかり合い、槍によって人が貫かれ、弓から放たれた矢によって人が死ぬ。
ソウヤにとってそれは想像し得る“昔の戦い”ではあったが、“別の何か”が在った。
飛び交う光。
爆発する光。
貫いてく光。
癒しゆく光。
絶望と希望の光が、戦場を飛び交っていた。
光は燃え、光は流れ、光を踏み、光は飛び、光は固く、光は創る。
あらゆる場所に炎が燃え、水が流れ、土が盛り、風が舞い、鋼が在り、木が生まれる。
―これは、一体。まるで……。
ふと、光景が消えソウヤの意識が本来あるべき場所に戻った。
先ほどの戦い、特に光が何だったのか……戻ってきたソウヤの脳裏にはそればかりが溢れている。
「神話も、逸話も君の世界には“存在した”」
「――――」
「30に増える槍が在り、血を吸うまで鞘に戻らない剣が在り、自我で動く剣が在り――」
けれどあの魔の武器たちは、性能的に片足を近衛剣に突っ込んでいると言っていい。
ならば何故、神話や逸話では“魔力”などを持たない人間が持てたのか。
使用者が自身に釣り合わない武器……しかも近衛剣レベルを使うことは、イコール使用者の死に繋がる。
使われるのを武器が嫌がり、使用者を拒絶してしまうからだ。
その際にあふれ出る力に生半端な使用者では耐え切れず、そのまま死に至ってしまう。
普通に考えるならば、強くはなりにくい筈の人間が魔剣や魔槍を扱うことなど不可能に近いはず。
最果ての輝きに限っては、他の世界でも“鎖”が邪魔で扱うことは無理だろう。
―唯一、在り得るとするなら“人間が持ちえるだけの力があった”と言うことになる。
それに神話も、逸話も存在したのなら竜はどうなる?
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