暁 〜小説投稿サイト〜
グランドソード〜巨剣使いの青年〜
最終章
1節―超常決戦―
森羅万象と百合の花
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


 だからルリは彼を支えたい。
 だからルリは彼を護りたい。
 だからルリは彼を助けたい。
 ――だからルリはソウヤを越えたい。

「行きます」
「――――ッ!」

 自身の足元の地面を勢いよく盛り上げ、その衝撃を利用し加速までに必要な時間を一気に短縮する。
 今までにないスピードでガブリエルに近づいたルリは、そのまま両手の短剣を振るう。

 だが、それは創り出された障壁に阻まれた。

 硬い障壁にそのまま力を込め、自身の体を浮かせるとルリはガブリエルの上空を取る。
 誰も“体を着けなければ力を使えない”とは言っていない。

 視線が上に向いた瞬間、『森羅万象』を起動し地面から攻撃。
 ――防がれる。

 地面から射出された短剣を空中で握りしめ、そのままガブリエルに向けて投射。
 ――防がれる。

 落ちる速度を利用して、もう一度創り上げた短剣でガブリエルに斬撃を放った。
 ――防がれる。

 その瞬間、予め詠唱二節目まで準備しておいた『神技』を発動、必殺の一振りを放つ。
 ――防がれ、障壁が剥がれた。

「――ここ!!」

 脚を踏み付け、鋼鉄の棘を創造し剥がれた障壁の間を縫ってガブリエルに攻撃――!

「惜しかったですね」
「――――」

 ――が、防がれる。

 “2枚目”の障壁を起動したガブリエルは、したり顔でルリに笑う。
 けれど、それでは終わらない……“終われない”。

 ガブリエルの後ろの地面から、もう1つの鋼鉄の棘が出現し今度こそ彼女の体を貫き――

「それを含めて言ったのです、“惜しかったですね”と」
「――――」

 ――防がれる。

 “3枚目”の障壁を創り出したガブリエルは、慈愛の笑みでルリを讃えた。

「えぇ、えぇたかが妖精の力で、良くここまで私を追い詰めました」

 呆然とするルリの体に急に襲い掛かる衝撃。
 “4枚目”の障壁でルリを吹き飛ばしたのだ。

 ―手加減、されていた……?

 ウィレスクラがソウヤに倒されるかもしれないという、この状況で。
 “時間を引き延ばされる”という行為自体がタブーな、この状況で。
 ――この熾天使は手加減していたというのか。

「すみません、私には“7枚の百合の花”があるのです」

 “7枚”。
 ルリの『神技』を使用して、壊せるのはそのうちの“1枚”のみ。
 壊したとしても、ガブリエルを護り続ける“6枚の花”を越えることは出来ないのだ。

「私の力の真名、それは“全て護り防(アイアスリリィ)()七輪の百合(ガブリエル)”」

 ―……私、は。私は……!

 自身の無能さに、自身の無謀さに悔むルリにガブリエルは“慈しむ”。

「心配なさ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ