暁 〜小説投稿サイト〜
グランドソード〜巨剣使いの青年〜
最終章
1節―超常決戦―
神さえ怖れた天使
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“堕ちる場所なんてない”。
 堕ちる場所、という言葉が指すのは考えるまでも無く“悪魔の世界”のことだろう。

 そもそも初めから“堕ちる場所”が無ければ、堕天することも出来ず現状維持のままに済まされる。
 もしこの天使が何かをやらかしたとしても、堕ちることは無いということだ。

「なら何故、神話で堕ちたと言われた?」
「ふむ。それでは今からそれを証明しようか」

 威圧。
 瞬間ソウヤは圧倒的な威圧に呑まれかける。
 今、目の前の天使が放っている殺気はそれほどまでに“黒く濃密”で……“無理由”だったのだ。

 ―あぁ、やっぱりこいつは本当にルシファーなんだな。

 今までの天使とは全く別物の、“神々しい殺気”ではなく“禍々しい殺気”。
 使命があるから殺すのではなく、ただ殺したいから殺すだけ。

 生きるため、食べるため、飲むため、場所を得るため、強くなるため……そんな原始的理由さえ“コイツ”にはない。

 ――今、この天使は人形ではなくなった。

 その異様に整った口を、限界まで歪めて堕ちた天使(ルシファー)は笑う。

「私の名は“神の恐怖(ルシファー)”。怖れよ、怯め……これが今からお前を蹂躙する力だ」

 神さえ怖れた天使。
 それ故に、彼は堕天使と神話で謳われ熾天使からも外れた。
 “こんな猛獣を枠に収めよう”なんて考えが、まず見当はずれなのである。

「君を殺せば、私は晴れて封印から解き放たれる。故に君を殺そうじゃないか」
「はっ、馬鹿言え殺人鬼。お前はただ“殺したい”だけだろう」

 ルシファーの顔が、更に獰猛に……醜く変化した。
 それだけソウヤの言葉が、自身の心を表現していて嬉しいのだろう。

 その顔は、その表情は、その体躯は、その声は、その体の動かし方でさえ、この異様さを閉じ込める檻。
 本性は美しさとは無縁であり、彼の根本はただの“血”だ。

 だからこそ、ソウヤは躊躇う必要さえ無い。
 “殺したいから殺す”なんていう人道から逸する考えを持つ奴相手に、最初から手加減するつもりは毛頭ないのである。

 雪無を取り出し巨剣化させ、ソウヤはルシファーと対峙する。

「あぁ、良い……凄まじく素晴らしい力だ。良くここまで鍛え上げた」

 ルシファーは瞳に初めて“生”を宿すと、12枚の翼のうち1枚を“引き千切った”。
 異常な行動に、ソウヤは度胆を抜かれ――

「私も、本気を出すに値する力だ」
「クソみたいな力の出し方しやがって……!」

 ――黄金に輝く槍を持ち、引き千切られた部分から黒い翼がルシファーから出現するのを見て、寒気が止まらない。

 12枚の翼はそのまま、“12個の力”となる。
 そのそれぞれが熾天使1人分の力であり、引
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