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蒼き夢の果てに
第7章 聖戦
第172話 蝶の羽ばたき
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立つアロハにバーミューダパンツの男を改めて見つめ直す俺。その俺に対して、そう続けるチンチクリン。

「俺が転生の際に神に与えられた能力は時間経過と共に自らの能力を徐々にアップさせて行く能力」

 神はその能力を『アンプ能力』と言っていたか。
 更に続くチンチクリンの言葉。
 成るほど。現われてからずっと何らかのエンハンスト系の術を行使し続けていたのはそう言う理由か。別に自らが危険に晒されているように感じない以上、心にかなりの余裕を持った状態でそう考える俺。
 確かにどれぐらいの能力アップ系の魔法か定かには分からないのだが、ここに奴が顕われてからずっと掛け続けられた魔法だけに、事に因ると人間の限界を超えた動きを、今の此奴が行える可能性はあるが……。

 ただ……気になるのはその『アンプ能力』と言う言葉。この言葉には記憶の深い部分に何か引っ掛かりがあるのだが……。

「そして、もうひとつ大きな能力を与えて貰えた」

 俺や、更に言うと俺の左右に立つ二人の少女たちすら何の反応を示そうとしない事に対して、まったく気にした風もないチンチクリン。この辺りの鈍感さについては見習うべき点もあるのかも知れない、などと非常にクダラナイ事を一瞬考える俺。

「それは――」

 そう叫んだ瞬間、それまで暗闇の中でも頑なまでに掛け続けていたサングラスを外すチンチクリン。
 刹那、怪しい輝きを発する奴の瞳。

「汝の正体見たり、汝の正体は――――」

 そう言った瞬間、しかし、何故か固まるチンチクリン。そして……。
 ………………
 …………
 ……

 ゆっくりと過ぎ去って行く時間。何故かその間ずっと固まったまま動こうとしないチンチクリン。
 そして俺の方はと言うと、此奴が現われた際の言葉を思い出し、その結果あまりにもアホらしい落ちが見えて仕舞い、動く気すら起きない時間。

 とあるインスタントラーメンならお湯を注いでから食べごろになるぐらいの時間が無意味に過ぎて行き――
 そして……。

「なっ、ば、ばかな! 何故、貴様らの能力値が分からない?」

 俺に与えられた能力は相手の能力の数値化。そして、その相手以上に自分の能力を上げた後に俺様つえ〜状態のワンパンチに因る制圧だったはず!

 もうアホ臭くて相手にするのも面倒になって来るような事を騒ぎ立てるチンチクリン。
 そもそも、機械ではない人間の能力の数値化などに何の意味があると言うのだ? 特に魔法や術と言うのは、その時の気分やノリで威力や発動率に差が起きやすい技術。こんな不安定な能力の数値化って……某宇宙の彼方からやって来た巨大ヒーローの身長と同じような表記方法。例えばミクロから四十メートルとでも表現されるのだろうか?

 ダメだこりゃ。そう言う気分に
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