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蒼き夢の果てに
第7章 聖戦
第172話 蝶の羽ばたき
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る、もしくは自分は常に正しいと思い込もうとしている人間の典型的な例。
 これでは、ちゃんとした観察眼を持っている人間から見ると、虚勢を張って居るのが丸分かりの状態。
 後一押しと言うトコロか。ならば……。

「確かに、オマエさんが言うように……匿名希望のチンチクリンさんが本当に歴史に関わっていないのならば、そのオマエさんが言う歴史の歪みにオマエさん自身が関わっていない可能性もあるとは思う」

 かなり余裕を持った仕草で胸の前で腕を組み、まるで目の前の道化者を値踏みするかのように上から下まで一周分見つめてから、そう言ってやる俺。
 その瞬間、当然のようにホッと安堵したかのような気配が目の前の道化から発せられる。

 ……と言うか、此奴、どう考えても術に対する耐性が無さ過ぎる。
 相手。今の俺は此奴に取っての敵と言うべき存在。その敵の言葉に簡単に揺さぶられるようでは術者としての程度も知れている。少なくとも、その人物の言葉を丸呑みするような危険な行為は真面な術者ならば為すべきではない。
 その言葉の中にも術や呪いが籠められている可能性だってなくはないのだから。

 術の基本は化かし合い。虚と実を織り交ぜた駆け引きが主。その場合、矢張り素直な人間はその分だけ向いていない。少なくとも相手の言葉の裏側を常に考えるようにならなければならない……と俺は思うのだが。

「例えば、このハルケギニア世界で産まれたけど、この世界の大気を吸う事もなく今まで暮らして来たのなら。
 例えば、この世界の生命体を一切、殺す事もなく暮らして来たのなら。
 例えば、この世界の生命体と一切、関わる事なく暮らして来たのなら。
 例えば、この大地を一度も踏み締めていないのなら」

 もし、この内のひとつでも行って居たのなら、その時、オマエさんは世界と関わりを持った事となり、その結果、少なからず世界に対して影響を与える事と成っている。
 およそ生命体として暮らして来たのなら、これをやらなければ生きて行く事は出来ない。そう言う内容を口にして行く俺。
 当然、

「何を馬鹿な事を。その程度の小さな事で歴史が変わったりするモノか」

 歴史には修正能力と言う物があって、その程度の事なら誤差の範囲内として呑み込んで仕舞い、大きな影響など出る事はない。
 そう吐き捨てるように言い切るチンチクリン。

 何をくだらない事を。一体、何を基準にしてその程度……と言い切る事が出来ると言うのだ。そう心の中でのみ吐き捨てる俺。此奴は自分がどれだけ大きな影響を世界に与えて来たのか考えた事はなかったのか。

「オマエさんがオギャーと産まれてから、これまで暮らして来た中で消費して来た酸素の量はおそらく五十メートルプールでふたつ分ほど。
 その身体を維持するのに必要なカ
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