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蒼き夢の果てに
第7章 聖戦
第172話 蝶の羽ばたき
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される未来の()()により、世界自体の在り様……俺自身が直接干渉出来ないこのハルケギニア世界の過去が歪められるとは思えない。

 かなり大きな秘密の暴露。
 今と違う名前。両親ともに健在で、今よりもずっと人間に近い能力……普通の小学生とそれほど変わらぬ生活をしていた頃の事を思い出し掛け、一瞬だけ、言葉に詰まる俺。
 いや、失った物を悔やむのは何時でも出来る。今は、この道化を舌先三寸でだまくらかすのが先だ。

「その両者の運命が変わった瞬間にこの世界に居て、その変わる前の歴史を知っていた人物がその歴史を変えた犯人。そのオマエさんの読みは良い線を突いて居たと俺は思う」

 そう、目の前の道化を一度持ち上げて置く俺。
 そして――

「この世界の在り様を……。歴史を歪めて仕舞った張本人。それはオマエ自身や、匿名希望のチンチクリンさんよ」

 オマエの知っているハルケギニアの歴史に登場しない人間。その中で明らかにこの世界に取って異分子と言えるのはオマエ自身だけ。
 そう口先では断言する俺。但し、心の中ではこの言葉に対する疑問点が浮かんでいる。
 それは俺に関係している転生者の存在。タバサを始めとする地球の神々の思惑と、本人たちの想いが重なってこのハルケギニア世界に転生して来た人物たちと、俺に反発する事を目的とし、その思いを、望みを成就させる為にクトゥルフの邪神たちの手に因って転生して来た者たち。例えば、今回の反乱騒ぎを起こしたアルザス侯シャルルなどの存在が、このチンチクリンの言う正史から歴史の流れを外させる原因となった可能性が高い事。
 もし、その影響で歴史の流れが正史から外れたとするのなら、その原因の一端は俺にも存在しているのだが……。

 但し、それはソレ。高が在り得たはずの未来のひとつがそう成らなかっただけで、面と向かって犯罪者扱いされなければならない謂れはない。むしろ道義的責任としては、この目の前に立つ正義の味方面をした道化の方がずっと重いと思う。

「もっとも、ある程度の年齢のように見えるけど、実はアンタが産まれたのは俺が召喚された時よりも後。未だ産まれてから一年も経っていないのなら、俺の仮説はその瞬間に崩壊して仕舞う程度の脆い物なんやけどな」

 最後に皮肉を込めてそう締め括る俺。当然、その意味はデカい図体をして居る割には頭の中身は赤ん坊並みだな。……と言う意味を込めている。
 そう。少なくとも俺と同じ時代に生きて居た元日本人ならば平行世界や多元宇宙。それにカオス理論と言う言葉を一度ぐらいは聞いた事があると思うのだが……。

「何を馬鹿な事を言っている。少なくとも俺は歴史に直接関わるようなウカツな動きはしていない!」

 かなりひび割れた声。大きな声を出す事に因って、此方がビビると思って居
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