巻ノ九十五 天下の傾きその八
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「よいのう」
「はい、修行の後は風呂ですな」
「特にこうした雨や雪の後は」
「身体を冷えた後は」
「風呂に限りますな」
「これが一番よいですな」
「全くじゃ、こうした修行の後は風呂じゃ」
幸村は自分の冷えた身体が急に温まっていくのを感じつつ応えた。
「身体が冷えてもな」
「それでもですな」
「その後で、ですな」
「身体を温める」
「それが大事ですな」
「そうじゃ、さもないと身体を壊す」
冷えたままではというのだ。
「だからな」
「修行ならばですな」
「その後で身体を温める」
「身体を冷やしたままにはしない」
「それもしっかりとしておくのですな」
「身体は冷えたままにしていいことはない」
幸村は以外の知識もある、忍としてそれを備えているがそちらの書もよく読んでいてそこから備えたものである。
「だからな」
「こうしてですな」
「身体を温め」
「そのうえで休む」
「そうすべきですな」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「だからじゃ、今はな」
「この風呂で身体を温め」
「そうして休みますか」
「ゆっくりとな、我等の鍛錬は永遠じゃ」
死ぬ、その時までだ。
「己の道の為でもあるからな」
「修行、鍛錬は己の心を鍛えるものでもある」
「身体だけでなく」
「それ故にですな」
「修行は続けますな」
「こうした場所におろうとも」
「時が来ずとも」
「そうじゃ、心身は始終鍛えていくものじゃ」
まさにというのだ。
「そうしていくものだからな」
「はい、では」
「明日もですな」
「修行に励みましょう」
「心身を鍛え」
「是非な、それで拙者はじゃ」
幸村な風呂の後自分が何をするのかも家臣達に述べた。
「風呂の後は学問じゃ」
「ううむ、流石は殿ですな」
猿飛は風呂の中で唸って言った。
「学問も忘れませぬか」
「殿が学問をしない日はないですな」
清海の言葉もしみじみとしていた。
「修行だけでなく」
「我等は十蔵以外は学問は疎いですが」
海野も言う。
「殿は違いますな」
「まさに文武両道」
根津の言葉は確かなものだった。
「学問も励まれるとは流石は殿です」
「そして武芸だけでなく軍略も備えられましたし」
霧隠の言葉も主を素直に讃えたものだった。
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