変身-トランス-
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レオンの化け物がさらに強い力でシュウを引っ張り、ついにシュウは自分が掴まっていたトラックのタイヤから手を離してしまった。
「うわあああああああああ!!!」
もはや万事休す、このまま彼は得体のしれない、おぞましいナメクジの化け物に食われてしまうだけなのか。
しかし、その時だった、
「ライトニング!!」
その声と共に、雨雲さえもないにも関わらず、雷が発生してペドレオンを襲った。その時にシュウの足に絡み付いていた触手も千切れる。
シュウはよろよろと立ち上がる。助かったのか?
「シュウ、大丈夫!?」
愛梨が駆け寄って彼の身を案じてくる。シュウはただ一言、あぁ…とだけ疲れたように息を吐いた。
「無事…!?」
そんな二人の前に一人の少女が現れ、シュウたちを守るようにペドレオン対峙する。
「あなたたちは…タバサちゃん!?」
杖を持つ眼鏡の小柄な少女を見て愛梨が叫ぶ。
「愛梨、知り合いか…?」
「生徒会の仕事を一緒に手伝ったことがあるの。そのときにね」
この女子生徒、タバサは成績優秀なのだが、常に無口で本を読み漁っているため、何を考えているのか不明なことが多い不思議ちゃんである。
「…でも…」
今は呑気に知り合いの後輩を紹介している場合などではない。ペドレオンはまだ健在なのだ。
「魔法、あまり効いてない…ブルブルし過ぎ。むやみに攻撃しても、こっちが消耗するだけ。触手なら簡単に切り落とせるけど…」
ペドレオンは今の雷を受けて怯んでいるようだが、致命傷に至ってはいない。
ここは足止めして、先輩たちが避難できるだけの時間稼ぎが必要だ。
「ラナ・デル・ウィンデ………〈エア・ハンマー〉」
タバサは眼前に杖を構え、小さく呪文を唱え、不可視の槌をナメクジの怪物にぶつけた。一発だけじゃない。少しでもシュウと愛梨の二人が避難させられるだけの時間を稼ぐべく、できうる限り打ち続けた。
「今のうちに!」
タバサがすぐに二人に向かって、ガソリンスタンドから遠く離れた地へ向かうように言うが、そうはさせまいとナメクジの怪物は口の箇所からエネルギー弾を飛ばし、タバサどころか、離脱を試みたシュウたち二人さえも爆風で吹っ飛ばした。
「うわああ!!」「「きゃああ!!」」
巨大ナメクジのエネルギー弾はさらに何発も放たれ、彼らのいるガソリンスタンドやその周囲にある建物さえも破壊していく。そして放たれた弾丸の一発が、ガソリン給油装置の近くにいるシュウの方に飛び、被弾した。
エネルギー弾は物体に被弾すると爆発を起こす。それが引火性の高いガソリンに触れた。結果…激しい爆発が巻き起こり、シュウはただ一人その爆発の中に飲み込まれてしまった。
「……ッ!!!!」
衝撃の光景を目の当たりにして、タバサ、そして愛梨は強すぎるショックのあまり唖然とした。
激しすぎる炎と爆発
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