変身-トランス-
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うわけじゃないが…どうしたんだ?そんな不機嫌そうな顔をして」
愛梨は、シュウがあの少女…ティファニアを見つけ少しの間だけじっと見ていたことに気づいていたようだ。でも、だからなんだというのだ、という話だとシュウは思った。少し気になっただけの他人をチラッと見るくらい、誰だってやることだ。さすがにじーっと見つめてしまうと怪しまれるとは思うが、尾白のように邪な思いにとらわれた覚えなどない。
「だって…私たち付き合い始めてから結構長いよね?それなのにシュウってば、全然手を出してこないし…」
「…おい、ちょっと待て。それってつまり俺とお前が交際しているってことか?」
「ちょ、その言い方酷い!それじゃ私との関係は遊びだったっていうわけ!?」
「うっわ…シュウ、ダメだぜそれ。人にさんざん真面目なコメントくれてやりながら浮気なんて…」
まるで浮気された彼女のごとき悲鳴で愛梨は両手で顔を覆って、いかにも浮気の被害者アピールをかまし、尾白まで悪ふざけで乗ってきた。
「人聞きの悪いこというな!俺たちはあくまで幼馴染だったろうが!」
「ま、まぁまぁ…」
さすがに酷い言いがかりを突きつけられ、シュウは反発する。実際シュウは告白なんてした記憶なんて夢にもなかったことだと強く自覚していた。…別に愛梨と交際することを全く考えていなかったわけではないが、いくらなんでも冗談が過ぎる二人に、本気で腹を立てそうになり、憐が宥めようとしたところだった。
ガタン!と大きな物音をたてて、屋上まで上ってきたサイトが現れた。突然の来訪者に、シュウたちは驚いて手を止め、否応にもサイトへ注目させられる。
サイトは、屋上のフェンスから見える町と青空に向かって…
「神様あああああああ!!ありがとおおおおおおお!!僕は幸せでえええええす!!」
なんともおかしな魂の叫びを轟かせていた。サイトの奇声に、学校内の誰もが驚かされた。自習中のまじめな生徒、意中の女子へ愛の告白をしようとした男子生徒、友達と談笑しあっていた生徒や、仕事中の教員たち全員がその声を聞いた。
「ちょ、ちょっとなに叫んでるのよ!恥ずかしいじゃない!やめなさいよ!」
追いついてきたルイズが、顔を真っ赤にしてサイトに口を塞ぐように言うが、当のサイトはよほど女子からの弁当プレゼントに幸せを感じすぎたらしく、彼女の声が届いていなかった。
「いや、だって!手作り弁当だよ!?俺、女の子に弁当貰うの生まれて初めてで、うぅうう…」
サイトは初めての女子の手作り弁当に感動のあまり涙さえ流している。手に持っている小包、あれがどうやらルイズの手作り弁当らしい。
だからどうした?ありがたいものだとは思うが、別にそんなに珍しいものでもあるまい。非モテ男の心情など興味ないシュウはさらにサイトへの呆れを強めた。
「ふ、ふーん…そこまで感動し
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