変身-トランス-
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に、それを感じ取ることなく膝を付いてうめき苦しみ始めるシュウ。次の瞬間、彼の身にさらなる異変が起き始めた。
彼の体が、青白い光に包まれ始めていた。
「な、なんだ…!?」「!?」
タバサも、シュウの身に起きた異常な現象に、戸惑いを隠せなかった。
シュウの制服越しの胸部から、今度は赤い光がともり始め、さらなる強い輝きを解き放ち始めていた。次第に赤い光は、彼の全身に血管のように張り巡らされていき…巨大化していく。それこそペドレオンさえも、小さく見えていくほどに。
やがて、彼は姿を変えた。
銀色の光の巨人へと。
銀色の巨人となった彼は、即座にペドレオンを、その銀色の拳を振りかざし、ぐしゃっ!と潰した。
地面から拳を引っこ抜くと、ペドレオンの残骸であろう黒い水たまりが出来上がっていた。
「……!?」
シュウは、銀色の巨人となった自分の姿を見て、強い戸惑いを覚えた。
これはいったいどういうことだ?何が一体どうなっている!?なんだこれは、なんだこれは!!
俺の体にいったい何が……
心が激しく動揺するシュウだが、不意にぐらっと意識が揺らぎだした。
なぜか急に強い眠気がどっと押し寄せる。
そのまどろみに逆らえなくなったシュウの意識は暗転した。
「…っ」
妙に体に重みを感じ、シュウは目を覚ました。朝日が目に染みる。
また、妙な夢を見ていた気がする。寝ていたのに、妙に疲れも感じる。しばらくの間ウルトラマンに変身していなかったはずなのに、そのときと同じような疲労感だ。よほど自分は疲労を蓄積していたのだろうか。
思えば、初めて変身したときも、かなり疲労感を覚えたものだが…
…ん?
シュウは今の自分に対して奇妙な違和感を覚える。初変身したのって『ついさっき』だったような…
…いや、これまで何度もウルトラマンに変身して戦ってきた。大切な人を、罪もない人々を死なせてきた罪を償うために。こんな大切なことを忘れるなんて、罪の重さを軽く感じ始めているのではないだろうか。
そう考えると、自己嫌悪を覚えてくる。
体を起こそうとすると、起きた瞬間の、体にかかる重みを再認識する。寝ている間に、どうやらリシュが自分の体の上に乗っかっていたようだ。
「…起きろリシュ。重い」
「…んみゅぅ…」
かわいらしい寝息が聞こえてきたが、だからといってシュウはこのまま女児の体重に押しつぶされるなどごめんだった。強引に退かしてベッドから腰を上げた。
監視つきとはいえ、時期にアスカを助けるためにもアルビオンへの突入作戦に加わることになる。ボケ掛けている頭を叩き直して任務に備えることにした。
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