変身-トランス-
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徒への挨拶を促す。その教頭は松永要一郎。怪しげな笑みを常に浮かべながら正論を述べることから、大半の生徒たちが苦手意識を持っている。
「松永教頭、やっぱすげぇ怪しい雰囲気だよな。実は宇宙人とか?」
尾白が憐やシュウに、ボソッと小声で言う。
「うーん、俺は実は魔神じゃないかって話をよく聞くけど?」
「馬鹿言ってないで校長の話を聞いたらどうなんだ」
「そうよ、また西条先生に睨まれるよ?」
二人の下らなさで溢れた言葉を否定するシュウと愛梨だが、尾白は心配ご無用と首を横に振って言い返した。
「大丈夫だって。どうせオスマン校長の方が不真面目なこと言うからさ」
その予想は当たっていた。というか、ほぼ全校生徒たちの誰もが知っていることだったといえるくらいだった。オスマンの、校長らしからぬ不順さに関しては。
「皆、夏休みを名残惜しむ思う者も多いじゃろうが…わしもその一人じゃ!なぜ夏休みは夏だけなのか!わしは口惜しい!あの水着のピチピチギャルが!道を行きかう若き衝動が!せめてわしがもう少し…10歳、いや2歳だけでも若ければ…」
ほらみろ、と尾白は校長へ呆れを覚えながら言った。シュウたちも何も言わないことにした。校長はもはや将来性のないご老人だというのに、未だに若い頃の情欲を引きずっているエロ爺っぷりだ。西条先生もオスマンの不順さ満載のスピーチに、視線だけで相手を殺せそうな視線を送っているため、こちらの小声のお喋りに気づかなかったようだ。
「…学院長」
だがやはりここは勉学を尊ぶ学校。欲まみれすぎる言動を、教頭である松永が真っ先にとめに入ってきた。
「あまりふざけたことを仰られるのなら…少しばかりお仕事の方に見直しを施す必要があると思いますが?」
「ま、松永君…これはあくまで」
「あくまで…なんでしょう?」
キュピーン…という擬音と共に、松永の眼鏡が怪しく光り、暗闇の中からこちらを狙っている暗殺者のような目を覆い隠した。それを見てこれはまずいと思ったオスマンは急いで話を切り上げることにした。
「つ…つまりじゃな、そういう後悔をせぬように!諸君においては勉学は大事なことじゃが、たっぷりと遊びにも励んでほしい!たまに学び、よく遊べ!わしからの訓示は以上じゃ!」
ここまで言ったところで、オスマンは科学の科目を担当しているコルベールに引きずられる形で壇上から引き摺り下ろされた。拍手を送りつつも、こんな教育方針でいいのだろうかと、生徒たちの中で何人かが思った。しかしこれでも有能かつ人望があるから校長を長いことやっている。
さらに続いて生徒会長のスピーチが行われた。
生徒会長は2年生のアンリエッタ・ド・トリステイン。気品と美貌を兼ね備え、さらには1年生の頃から生徒会長を任されたほどの才覚を持っているため、男女共に高い人気を誇っている。アンリエッタの姿を
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