アージェント 〜時の凍りし世界〜
第二章 《暁に凍る世界》
不信
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……人質はどうなっても構わない、と。」
『っ……!卑怯な……』
「犯罪者を卑怯呼ばわりとは……何を当たり前の事を……それくらい想定しとけ。それに、こいつらを見捨てたのは“そもそも管理局だろ?」
『……何を?』
「何をって………だから、こいつらを囮に、俺を爆弾で始末しようとしたのは管理局だろ?」
『違う!そんな事……ある訳ない!』
「……そうか?少なくとも俺は爆弾なんて仕掛けてない。これが無ければとっくに逃げてる。研究所の自爆も、罠でも無い限りアナウンスがあるし、研究員諸共なんて真似もしない。そしてスノウスフィアが半ダースもそろってれば、こんな爆発程度じゃびくともしない。そして……俺が死んで一番得するのは管理局だ。」
『そんな……そんな事………』
元々フェイトの頭の回転は早い。そして、暁人の言葉に信憑性があるのも理解出来ている。しかし、それでも認められない。認める訳にはいかなかった。
「さて……投降しろ、だったか?答えはノーだ。氷雪を救うまで、俺は止まる訳にはいかない。」
『………氷雪ちゃんの治療なら、管理局が責任を持って……』
「管理局でどうこう出来る病気じゃない。それに……言った筈だ。俺は管理局を信用してなければ、正しいとも思って無いって。二度も言わせるな。」
大体、と暁人は続ける。氷の様に冷徹に、厳然と。
「管理局が氷雪を手に入れて何をしたいのか想像がつく。大方『あの実験』の続きだろう?治療?寝言は寝て言え。お前達が氷雪に何をしたのか、忘れたとは言わせない。」
『…………?』
怪訝な顔をするフェイト。何の話をしているのか分からないといった表情だ。
「………まさか、何も聞いてないのか?」
『……………』
「…………………………クックックッ………ハッハッハッハッハッハッハ!!滑稽だなぁ!!何も知らずに俺を捕まえようとしてたのか!演技で言ってるのなら大したもんだと思ってたら、まさか本心とはな………いや、済まなかったな。面の皮の厚い偽善者だと思ってた。」
突然、狂った様に嗤い出す暁人。その凍りついた瞳の奥に潜んだ狂気に呑まれ、フェイトは言葉を紡ぐ事が出来ない。
(やだ……聞きたくない……)
本能的に暁人の嗤い声に恐怖を覚えるフェイト。一体何が、彼にこれ程の狂気を抱かせるのか、理解が追い付かない。
「ククク……ああ、安心した。やっぱり腐ってた……何も知らない少女に、何も知らないまま絶望を与えさせようとしていたなんてな……あの下衆が!!」
突然声を荒げる暁人に、反射的に身を固くするフェイト。暁人の眼からは、先程までとは打って代わって、押さえようの無い怒気が迸っていた。
「……………スノウスフィアは貰ってく。じゃあ
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