アージェント 〜時の凍りし世界〜
第二章 《暁に凍る世界》
不信
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
に報告を!武装隊にもだ!」
矢継ぎ早に指示を飛ばすクロノ。爆風が雪を巻き上げた影響で、爆心地は目視も出来ない。
「ハラオウン執務官及び武装隊出撃!」
「八神一等陸尉、上甲板にて詠唱開始!」
次々と上がる報告。徐々に晴れていく雪煙。そして……
「あれは………何だ………。」
爆心地にあったのは氷の城。透き通った美しい氷が、無数の尖塔を構成している。爆発の為か痛々しい破壊痕が散見されるが、それを感じさせない程に優美で、荘厳だった。
「しゅ、周辺の魔力濃度が急速低下!あの城に向けて集束しています!」
「……!まずい!武装隊に警告をだせ!」
何を仕掛けてくるのかは分からなかった。しかし、相手の想像はつく。警戒に越したことはないのだった。
「っ……あの…屑共が……えげつねぇ事しやがる……。」
暁人は肩で息しながら、吐き捨てる様に呟く。魔力は殆ど底を尽き、立っているのがやっとだ。研究所を爆破して、研究員もろとも吹っ飛ばす積もりだったのだろう。成功すればよし、失敗しても暁人の戦力を削れる。スノウスフィアはこの程度じゃびくともしない。
事実、研究員や守備隊を全て庇った影響で、暁人の消耗は戦闘困難な程にまで達している。
「そんで、弱った俺をアースラが捕らえる……良くできた作戦だよ、全く……。」
ともすれば震え出しそうな足に活を入れ、接近するアースラの部隊にハボクックの先端を向ける。皮肉にも、先ほどの爆弾のお陰で魔力は腐る程周囲に漂っている。
「……警告する。それ以上接近するようなら直ちに集束砲で攻撃する。お前達じゃない、研究員を、だ。賢明な判断を期待する。」
当然ブラフだ。だが、アースラ側にそれを判断する材料は無い。で、ある以上、迂闊な行動は取れない筈だ。
暁人としては戦闘は避けたい。魔力に不足は無くても体の負担まではどうしようもない。ましてや彼は、『無傷では済まなかった』のだから。
暁人が展開した氷の要塞はしかし、爆発の全てを止める事は出来なかった。その際、外壁を突き抜けた魔力の奔流が暁人の方に流れ込む様に内部構造を調整したのだ。これは反撃を早くする為だが、同時に暁人の体にも無視出来ないダメージを与えていた。
幸いにも相手は停止した。ここからは交渉という事である。
「……上出来だ。こっちの要求はこの研究施設に存在するスノウスフィア『6個』とこの場からの退避だ。」
どうする?とは聞かない暁人。向こうには呑めない提案だと分かっているからだ。
『……白峰暁人さんですね?』
「……執務官の方か、まあ妥当だな。」
『貴方の要求を聞き入れる事は出来ません。大人しく投降して下さい。』
「なるほど
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ