467部分:第三十七話 呂布、張飛から貰うのことその十三
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第三十七話 呂布、張飛から貰うのことその十三
「さっさと受け取るのだ」
「わかったのです」
陳宮も頷いてだった。その置物を受け取るのだった。
それからだ。こう張飛に言った。
「御礼は言ってやるのです」
「ふん、そんなものいらないのだ」
「恋殿、これを」
「有り難う」
まずは礼を言う呂布だった。だがこう陳宮に言うのだった。
「ただ」
「ただ?」
「もう二度とこんなことはしないこと」
抑揚がないのは相変わらずだが厳しい言葉だった。
「絶対に」
「は、はい」
「恋の為でもこんなことはしたらいけない」
「も、申し訳ありません」
「そういうことだから」
呂布が言うのはここまでだった。そうしてだった。
呂布と陳宮は店を出る。劉備一行もそれぞれ欲しいものを買って店を出ていた。外はもう夕刻になっていた。赤い世界の中だった。
その中でだ。彼女達は話すのだった。
「恋達はこれで帰る」
「そうされるんですね」
「うん、帰る」
「この街も出るのです」
陳宮も話す。
「そういうことなのです」
「そうなのですね。ただ」
劉備が一行を代表してだ。そのうえで二人に話す。
「これで永遠のお別れではないですよね」
「多分」
呂布はぽつりと答えた。
「そうなる」
「そうですね。それじゃあまた」
「うん、また会おう」
「その時を楽しみにしてますね」
「うん」
呂布がここでにこりと笑った。微笑みだったが確かにだ。
そしてだ。陳宮にも言うのだった。
「ねねも」
「ねねもなのですか」
「お別れの言葉を言う」
こう話すのだった。
「早く」
「そう言われてもなのです」
陳宮は俯いて難しい顔になって話した。
「ねねはこの連中とは」
「置物貰った」
呂布はこのことも言った。
「だから」
「うう、それじゃあ」
「早く言う」
「お別れの言葉を」
「少しだけ別れる言葉を」
その時のことをというのだった。
「言う」
「わかったのです」
「笑顔で言う」
呂布はこのことも言い加えた。
「そう、笑顔で」
「笑顔でなのですか」
「人は別れる時の顔を覚えている」
関羽と張飛の話をそのまま告げたのだった。
「それじゃあ今から」
「今からなのですか」
「そう。お別れの言葉を言う」
「笑顔で」
「そう。言って別れる」
そう告げてだった。陳宮を見てであった。
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