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提督はBarにいる。
キスの味はさくらんぼ?・その4
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違うな」

「えぇ〜?まさかの浮気ぃ〜?」

「違ぇよ、学生時代……高校の時だよ」

 あれは高校2年の時だったろうか?俺は当時遊ぶ金欲しさでバイトを幾つも掛け持ちして忙しい毎日を送っていた。そのバイトの内、喫茶店のバイト先で知り合った1コ下の女の子が相手だ。

「つ、付き合ったんですか?」

 早霜が真っ赤になりながら尋ねてくる。

「いや、俺その頃はあんまり恋愛とかに興味なかったしな。俺は調理場担当だったし、彼女はホール担当でふれ合う機会もほとんどなかった」

 そんなある日、バレンタインデーの近くなった頃にバイト終わりに呼び止められた。その子は真っ赤になりながら、俺に自分でラッピングしたんだろう、手作りのチョコを渡してきた。んで、ありがとうって俺が言ったら、頭にゴミが付いてるから取ってあげると言われたんだ。頭下げたら不意打ち気味にチュッ、とな。

「うわぁ……ドラマのワンシーンみたいねぇ」

「それで、その子とはどうなったんですか!?」

「それっきりだよ。その子は親の都合で引っ越してったらしい」

 今思えば、あの子は俺の事が好きだったんだろうな。今になって思い返せば、あんな態度取ってんのに気付かねぇとか……鈍感すぎんだろ当時の俺。

「不意打ちだったからな、味なんぞ覚えとらんよ」

 金剛と初めてキスした時にゃ、その日食ったカレーの味がして随分とスパイシーなファーストキスだったな、と思い出して2人で笑ってたりするが。そんな話をしながらも作業は進んでおり、さくらんぼの種取りは完了。

 種を取ったさくらんぼをタルト型に敷き詰め、そこに生地を流し込んでいく。この時、タルト型に溶かしバター(分量外)を塗っておくと焼き上がりに型から外しやすくなるぞ。後は余熱したオーブンで35〜40分焼けば出来上がりだ。





「提督ぅ、待つ間にもう一杯……お願い♪」

「しゃあねぇなぁ」

 さっきキスの話題が出たし、名前にキスの入ったカクテルにするか。

《キス・イン・ザ・ダークのレシピ》

・ドライジン:20ml

・スイートベルモット:20ml

・チェリー・ブランデー:20ml



 キス・イン・ザ・ダーク……直訳すれば暗がりでのキスって所か。実は同じ題名でピンクレディーが歌を出してたりするが、まぁ因果関係は無い。ハズだ。作り方としては全ての材料をシェイカーに入れてシェイク。カクテルグラスに注いで完成。甘口が苦手な場合はチェリー・ブランデーを減らしてジンを増やしてやればいい。

「さぁ出来たぞ、『キス・イン・ザ・ダーク』……本当にキスの味かは知らんがな」

「あらあら、素敵な事するのねぇ♪」

 荒潮は軽く一口味わうと、

「提督、ちょっと顔近
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