四話 迷子の子猫ちゃん
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って!?」
そして、男はその場に倒れた。
「ギャハハっ。ダセェの!」
「んなので、ビビんなよ」
「つっかえねぇな」
三人の男達は一人の男を罵倒する。
倒れた男は立ち上がろうと必死になるが、足がガクガクと震えており、まともに立つことすら出来なかった。
エミリアは「はぁ、」と溜め息を付き、前に進んだ。
「なぁに、勝手に進もうとしてんだよ」
一人の男はナイフを前に突き付け、エミリアの進行を邪魔する。
その時だった。
男の足は止まった。
「は?」
男は動かなくなった自分の足を見る。そこには普通では有り得ない現象が起きていた。
「あ、あ、あ、足が!?」
男の両足は凍っていた。
「な、は!?」
「どうなってんだ!」
「まさか、この女────」
その言葉を言い終える前に、男達全員は凍り付いた。
死んではいない。身体の表面を凍らせただけだ。一時間もすれば自由になるだろう。だが、その間は体全身は氷で覆われ、動くことも話す事も出来ない。
ちょっかいを出してきた男達の罰だ。
「大丈夫、氷は直に溶けるから」
エミリアはそう言い残し、この場を去った。
何事も無かったように。ただ、道に迷った迷子の子猫のように。
数分後。
「うわぁ。なんだ、これ?」
目の前には凍り付いた男達のオブジェクト。触れてみると氷は異様なほど冷たく、俺はすぐに手を離した。
「生きてる、よな?」
凍り付いた男達の目を見ると眼球は動いている。ということは生きているのだろうか?
試しに、凍った男の目元近くに指を出し、それをくるくると動かした。丸い円を作り、それを何回も繰り返すと。
男の目は俺の指の動きを追っていた。
どうやら生きているようだ。
「こりゃ……どうなってんだ?」
「魔法、だよな?」
「生きてる、よな?」
俺の背後で、ビクビクと震えている三人の男達。
この驚きようだと、この現象はこの世界でも珍しい分類に入っているという事だろう。
「こういうって珍しいの?」
「はッ?お前、これ見てコレを普通だと思えんのか?」
「いや、思えないけどさ」
凍り付いた四人の男達、それも生きたまま。
どうすれば、こんな事が出来るようになるのだろうか。これも、この世界特有の魔法による現象なのか?
恐らく、そうなんだろうけど……この男達はなんで凍り付いたのか?
「うーん……よっし、コイツら本人に聞いてみよう」
「「「は?」」」
間抜けた三人の男達の声。そういえば、名前を聞いてなかったな。後で聞いとかないと。
────トレース・オン。
対の双剣を頭の中でイメージし、それを具現化する。
「まぁ、こんなものかな」
俺の手元には二本の剣が
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