三話 貧民街
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るとラインハルトは腕を組み、黙り込んだ。
「テメェの面と、躰は一級品だ。父親と母親に感謝すんだな」
「……そう、ですね」
ラインハルトは少し微笑み、男に手を差し出す。
男は差し出された手を取り、立ち上がった。
「で、俺は何点だ?」
ニコッと男は笑った。
先程とは大きく変わって、態度も柔らかくなっている。もしかしたら、これが素の性格なのかも知れない。
「そうですね。百点満点中……46点といった所でしょうか」
「低っく!?
俺って、そんなに弱かった?」
「いえ、実力はなかなかのものでした。ですが、すぐに表情が顔に出る所は直すべきですね」
男の剣士としての実力は低くない。
これは合格だ。とラインハルトは判断し。
「貴方は合格です。明日から、城門の衛兵として働けるよう手配しましょう」
「よっしゃッ!!」
男はガッツポーズを決め、勢い良く飛び跳ねた。
剣聖であるラインハルト・ヴァン・アストレアは国で職に困っている国民に仕事を与える権限を国王から与えられていた。
まぁ、それは国を守護する兵士の調達が名目な訳だが。
といっても国の兵士の調達が、主なメインといって誰しも構わずという訳ではない。兵士としての職を与えるなら、それなりの実力を要する。そこで、剣聖であるラインハルトが、品定めをするのだ。簡単な話、手合わせだ。
剣聖 ラインハルト・ヴァン・アストレアが直々に、手合わせをしてくれる。これは大きいアドバンテージである。
ルグニカ王国最強の騎士と剣を交えられる。それだけの為にわざわざ他国から移住してくる異国民も珍しくない。
目の前の男も、その一人で。
以前は何処かの貴族の騎士として仕えていたらしいが……何か、いざこざがあったらしく。男は、その貴族の元を離れたらしい。そして、職を失った男は大陸各国を旅をしていて、その旅の最中にルグニカ王国のラインハルトの話を耳にし、ここまでやって来たそうだ。
「ふぅ、一時はどうなるかと思ったぜ。このルグニカまでたどり着いたはいいが、途中でひったくりにあっちまって財布をスられちまうし……この身なりだから、憲兵に捕まって尋問を受けるしでホント最悪だったぜ」
「それはお気の毒に。では、今日の宿は?」
「ねぇよ。まぁ、野宿なら慣れてるよ」
と気楽に男は言うが、国を守護する騎士としては救いの手を差し伸べきだ。ラインハルトはそう判断し、
「お困りのようですね。もし、よろしければ今日は僕の家で厄介になりませんか?」
と、丁寧な口調なのにどこか気の抜けた発言をするラインハルトであった。
「兄ちゃん。変わった身なりだな」
少女は、珍しいものを見るような目で俺を見てくる。
この視線もいい加減慣れてきた。でも、今は
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