0093話『旧第十六駆逐隊のとある子の不満』
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はユキのままでいていいのよ?」
「……? はい、わかりました初風さん」
それで黒潮の改二になりたいという駄々も終わったのか私はある事を聞いてみることにした。
「ところで今日はまたどうしてこの三人できたんだ? 天津風や時津風、親潮も一緒に連れてくればよかったじゃないか……?」
「ちっちっち! わかっとらんなぁ司令はん。たまには古巣のメンバーで集まりたいって言ううちの親切心で今日はこのメンバーなんやで」
「そうか。……それで本音は?」
「……親潮が忙しそうで寂しかったんや。雪風たちも天津風と時津風がなにやらしているみたいなんで寂しさを共有したいんやなと思って誘ったんや」
黒潮はすぐに本音を言ったので寂しかったんだなと自己完結しておく。
だけど初風はあえて追及していく構えで、
「あら……? 私はユキと一緒にいられればそれだけでいいわよ?」
「初風ェ……そこはあえて嘘でも気を使ってくれてもええんやよ……?」
「別にそこまで気を遣う関係でもないでしょう? 同じ陽炎型なんだから相談くらいは乗ってあげるわよ」
「あえて落としてからの上げてくる感じ……初風、キミィやるなぁ」
「どうでもいいわよ」
初風はあくまでマイペースで黒潮に対してはざっくりとした対応を取っている。
うん、見ている分には面白いな。
「黒潮さん! 相談ならいつでも引き受けますよ!」
ビシッ!と手を上げて雪風が表裏なく本音を言うので黒潮も思わず涙を流しそうになったのか、
「雪風はええ子やねぇ……姉としては嬉しいわ」
「ありがとうございます!」
そんな三人のやり取りを見ていて常に中心には雪風がいるんだなと思う私であった。
雪風は良くも悪くも陽炎型の良心だからな。
「えらいぞ雪風。これからも陽炎型のみんなの中心にいてやってくれ」
「はい、わかりました!」
眩しい笑顔で答えるために私も心が洗われる気分だったのは内緒だ。
それで初風が何かを想ったのか雪風を抱きしめながら、
「……あなた。ユキはあげないからね?」
「ははっ。嫉妬とは可愛いな初風」
「もう……調子に乗らないの」
「わかったわかった」
それからやっと黒潮も調子が戻ってきたのか初風をからかうなどをして少しばかりの間だけど執務室は和やかな空気だった。
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