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も心配そうに見てる自分達を安心させるように笑顔を見せてグリフォンに跨る。グリフォンは前傾姿勢を取るや否や、鷲翼を羽ばたかせて空へと飛び立った。
「あれは……空中を、走ってる?」
鷲の鋭い鉤爪で、風を絡め取るように。獅子の強靭な後ろ足で大気を踏みしめるように。グリフォンは自身の翼だけで疾走するのではなく、旋風を操って空を疾走していた。
「春日部さん……大丈夫かしら」
「さあな。だがあのスピードと山脈から吹き降ろす風。体感温度はマイナス数十度にもなっているはずだ」
心配そうに呟く飛鳥に対し、十六夜は淡々と事実を述べる。確かに普通の人間なら、あっという間に凍死してるだろう。そうでなくてもグリフォンの動きに耐えきれず、落馬して無残な事になる。
「大丈夫ですよ。耀様のギフトが私の考えてる様な物なら、きっとクリアできるはずです」
山の影へと入り、見えなくなった耀達を見ながら自信を持って答える。十六夜はピクン、と眉を震わせるといつもの不敵な笑みを浮かべた。
「へぇ? 何を根拠にそう思うんだ?」
「禁則事項です☆」
「あ、見えてきましたよ!!」
黒ウサギの声に遮られて目を向けると、耀がグリフォンの背中にしがみつきながらゴール地点へと向かって来た。グリフォンは、これが最後の試練と言わんばかりに急降下や急上昇、更には錐もみ回転をしながら飛行していた。
「八雲の考察は当たりみたいだな。あれだけ激しく動いていると、身体にかかるGは相当なはずだ。普通ならとっくに失神してる」
十六夜の説明を耳に入れながら、自分は耀に目で追っていた。ゴールまであと十五メートル、十メートル、五メートル……。
「やったっ!!」
その声は誰のものだったのか、歓声を聞くと同時に耀はゴールの鳥居を通過した。緊張がほぐれ、息を吐き出す。見ると、飛鳥や黒ウサギも同じ様に胸を撫で下ろしていた。
「勝負あり! このゲーム、見事―――」
白夜叉の宣言と同時に、耀の身体がグリフォンから離れ……そのまま落ちていく!
「春日部さんッ!!」
「待て! まだ終わってない!」
駆け出そうとする飛鳥が十六夜に止められる。そして―――地面に激突するより先に、耀は空中を踏みしめて歩いていた。
「………なっ」
その場にいたほとんどの人間が絶句していた。無理もない。先程まで空を飛べる素振りを見せなかったのに、今は湖畔の上で風を纏って浮かんでいるのだ。それに、見間違いで無ければ、あれはグリフォンと同じ方法で飛んでいる。
そうこうしている内に、耀は自分達の元へ降りてきた。待ち切れなかったのか、三毛猫は自分の腕から飛び降りて耀へ飛び出していった。
「やっぱりな。お前のギフトって、他の生き物の特性を手に入
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