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ニティとなるのかしら?」
「うん。これを逃す手はない」
「ちょ、ちょっと御三人様!?」
慌てる黒ウサギを無視して三人は剥き出しの闘志を白夜叉にぶつけていた。確かに十六夜達からすれば、白夜叉はコミュニティ再建にあたって恰好の獲物だろう。だけど―――
「止めた方がいいとおもいますよ?」
「あら?八雲君は勝てないと思うのかしら?」
「……勝てる勝てないどころじゃないと思いますが」
飛鳥の挑発を流して、白夜叉(オーナー)を見る。見れば見るほど、噂のガルドとは比べものにならない、むしろ比べる事すらおごがましい程の威圧感と能力をひしひしと感じていた。背中に嫌な汗が流れてくる。
自分は白夜叉とは長い付き合い?だ。
「まあ。楓馬は私が何者か、視えておるようだの。結構。相手を見極めるのは重要な事だ」
白夜叉はくつくつと笑い、懐から”サウザンドアイズ”の紋章が描かれたカードを取り出し―――刹那、視界が意味を無くした。黄金色の稲穂が垂れ下がる草原、白い地平線を覗く丘。森の湖畔。様々な風景が流星群の様に過ぎ去っていく。気付けば水平に太陽が廻る、白い雪原と凍った湖畔がある世界にいた。
「……なっ………!?」
余りの異常さに、十六夜達は同時に息をのんだ。これは明らかに人智を超えた所業だ。それを証明するかの様に、白夜叉は外見から考えられない壮絶な笑みを浮かべた。
「今一度名乗り直し、問おうかの。私は”白き夜の魔王”――太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは、試練への”挑戦”か? それとも対等な”決闘”か?」
重苦しい沈黙が十六夜達に漂っていた。どう足掻いても勝ち目が無い事は三人とも十分に理解させられた。しかし、ここで引き下がるのは彼等のプライドが許さないのだろう。しばらくして、ようやく十六夜が苦笑しながら手を挙げた。
「参った、降参だ。今回は大人しく試されてやるよ、魔王様」
それは自信家の十六夜にとって、最大限の譲歩なのだろう。そんな十六夜の意地をからからと笑いながら、飛鳥達にも問う。
「く、くく………して、残りの童達も同じか」
「……ええ。私も、試されてあげてるわ」
「右に同じ」
一連の流れをヒヤヒヤしながら見ていた黒ウサギは、ホッと胸をなでおろしていた。
「も、もうお互いにもう少し相手を選んでください!! 階層支配者に喧嘩を売る新人と、新人に売られた喧嘩を買う階層支配者なんて、冗談にしても寒すぎます!! それに白夜叉様が魔王だったのは、もう何千年も前の話じゃないですか!!」
「何? じゃあ元魔王ってことか?」
「はてさて、どうだったかな?」
はぐらかす様に笑う白夜叉。その時、彼方にある山脈から甲高い叫び声が聞こえた。その声にいち早く反応したのは耀だ。
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