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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
463部分:第三十七話 呂布、張飛から貰うのことその九

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第三十七話 呂布、張飛から貰うのことその九

「そうだ、あの犬のだ」
「なくなった」
「なくなったのか」
「そう、なくなった」
 そうだというのである。
「その賊との戦いの時に」
「残念だな、それは」
「恋、悲しい」
 実際に呂布はここで俯いてしまった。
「赤兎がいないと思うと」
「恋殿、きっとまた見つかります」
 陳宮がその俯いた呂布を励ます。
「悲しまれてはなりません」
「うん、陳宮」
「ですからまずはこの店にです」
「入ろう」
 こうしてだった。呂布は劉備達と共に店の中に入った。するとだった。
 店の中には色々なものがあった。その中には。
「これなのです」
「この芸人みたいな幼い娘がなのか」
「はい、袁術殿なのです」
 陳宮はこう関羽に述べる。金髪のこまっしゃくれた感じの幼女が描かれている湯呑みを手に取ってだ。
「この人がなのです」
「何か袁紹に似てるのだ」
 張飛もその湯呑みを見て話す。
「袁紹が子供になったらこうなると思うのだ」
「ですから袁家の人ですから」
 孔明はこのことを指摘した。
「それも当然です」
「本当に癖が強い人が多い家なのね」
 神楽はある意味感心していた。
「袁家っていうのは」
「四代三公の家柄です」
 鳳統はこのことを話す。
「家柄は見事です。ですが」
「ですが?」
「そこでなのね」
「はい、代々妙な癖や趣味を持っている方ばかりなのです」
 こうミナと月に話す。
「困ったことにです」
「袁紹さんだけじゃなかったのね」
「はい、それでこの国でもお騒がせ一族でもあるんです」
「ううん、それは何か」
「問題だと思うけれど」
 ミナと月は自分達の本来の世界でないのにそれでも親身になっている。
「それでも深刻じゃないみたいだし」
「そうですね。それは」
「はい、悪い人達じゃありませんから」
 だからだと。鳳統はまた話す。
「それは曹家と同じです」
「そういえば曹操さんも」
 劉備が鳳統の話を聞きながら言う。彼女は袁術が描かれた手拭いを手に取っている。
「悪い人じゃなかったし」
「た、確かに」
 だが関羽は困った顔を見せる。
「悪い人ではないのだが」
「操を捧げるところだったしな」
「そうだ・・・・・・いや待て翠」
 関羽は横にいる馬超にすぐに言った。
「元々は貴殿が」
「悪い、あの時は」
 手を合わせてそれを顔の前にやって謝る馬超だった。
「本当にな」
「全く。曹操殿を仇と誤解してだ」
「わかったよ。曹操はそんな奴じゃない」
 今は彼女もよくわかっていることだった。

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