暁 〜小説投稿サイト〜
ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
溝-グレイヴ-
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崎さん、考え直してください!今のあなたを見て、いったい誰が喜んでくれるんですか!?」
ルイズとハルナも、口々にシュウに反論を加えた。
「…頼む、このまま黙って一人で行かせてくれ」
言いたいことはわかるし、理解はできる。しかし、シュウは一度伏せていた過去を上げ、苦しげな声を出してサイトたちの方に視線を向けて懇願するように言った。
「俺は、俺のために誰かが傷ついたり死んでいくのを見たくないんだ。頼む…!!」
かつては人のためを思う夢を抱いていた青年。しかしその夢は邪悪な怪物たちによって不幸にも潰され、これまで多くの人たちが彼に手を差し伸べてきた。だがその人たちでさえ、彼のために消えて行った。シュウは、もう限界だった。
「だったら…私や村の子たちの気持ちだってわかってるはずでしょ!?私たちだって、あなたがボロボロになっていくのは…」
一方でテファも同じだった。自分をとことんまで追い詰めようとする彼に反論する。
そんな時だった。逆にシュウの意見を肯定する意外な者がいた。
「いいんじゃないか?一人で行かせてあげようよ」
「「「!!?」」」
シュウを除く全員が、信じられないことを聞いたようにジュリオに視線を集中させた。
「どうせ何を言っても、彼は自分なりの責任を果たすために、一人でウルトラマンとして戦う。そのつもりなんだろ?だったら僕らがなにをいったところで無駄さ」
「ジュリオ、お前何言ってんだよ!!ここは何が何でも止めるところだろ!」
「無理強いしたって、彼は一人で行く。だったら最初から一人で行かせるのがいいんじゃないかな?」
「てめえ…!!」
言っていることは間違いじゃないかもしれない。だが、こいつのあの顔…こんな時になってもいつも通りの憎たらしい笑みを浮かべているのがむちゃくちゃ腹立たしい。わざとふざけたことを言っているようにしか見えないジュリオに、サイトは激高する。
今ここでシュウが離れるなどあってはいけない。聞けば、シュウとテファは互いの間に溝ができている。これ以上掘り進めば、手遅れになるほどに二人の関係が冷え込んでしまう。それ以上に、シュウ自身の命にもかかわることになる。ティファニアから最近のシュウについての話を聞いた時もそうだが、たった今だって無茶前提の姿勢を見せているのだ。自ら死を選ぶ選択を取りかねない。そんなこと…気づいた以上止めないわけにいかない。
「僕はそう思わないな」
そんな時だった。ムサシが口を開いてジュリオに反対意見を出す。
「どうしてそう思うのかな?ミスタ・ハルノ」
「これ以上自分を追い詰めて一人で戦っても、何も得るものはない。自分も周りも無意味に傷つけるだけだからだ。
黒崎君、君とは今日初めて会ったけど、今の君はどう考えても普通じゃない。自分のやろうとしていることの無謀さもわかっているんじゃない
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