溝-グレイヴ-
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つ、口実ができました」
「口実?姫様、それは…」
以前のアンリエッタとの会談の際に、彼女がいずれ予定していたことを思い出し、問うようにルイズが言うと、アンリエッタはそれに頷いた。
「ええ。今後の予定として、我がトリステイン軍は、レコンキスタ打倒のためアルビオンへ侵攻します」
「戦争…」
サイトとムサシの口から同時に、自分たちには馴染むことがないはずの単語が漏れる。
だが、レコンキスタのこれまでの悪行を考えると、たとえ星人や闇の巨人が絡んでいなかったとしても、こちらから攻めるだけの十分な口実を得ている。
「事実上アルビオンへの宣戦布告となります。ですがこちらには、異界の侵略者から、アルビオンという古き親戚の大地を奪還するという大義名分があります。ただの侵略ではなく、この世界を守る聖戦として、今一度各国に協力を要請します」
聖戦。聞こえはいい。しかしその実態もまた結局は戦争。でも…このままレコンキスタと、その中に巣食っている侵略者を倒さなければ、ただでさえ文明レベルでは異星人たちに圧倒的に劣るこの星は近いうちに滅ぼされてしまう。だから…してはいけない、とまではサイトは強く言い出せなかった。ムサシも別の世界の邪悪な存在がこの世界を狙うのなら自らも表に出ることを惜しまないが、国の長の決定にまでは干渉することは許されないと己を律し、静観することにしていた。
「その前に、まず以前タルブ戦役の際で乗っていた竜の羽衣…ウルトラホークで隠密に送り込み、その間の囮は我が軍で編成したトリステイン偵察部隊、そして炎の空賊の方々に協力を頼むつもりです。突入部隊にはアルビオンへ侵入し次第、敵の拠点の状況を把握、可能ならば破壊します」
「敵の懐に飛び込むということですか。レコンキスタは怪獣を飼い慣らしているから、これまでよりも危険度は増すだろうね」
ジュリオがそのように呟く。自分も怪獣を操る身だからか、その恐ろしさが身に染みているのだろう。
だが、行かないわけにいかない。もう一人のウルトラマン…アスカを救出するためにも。
「その様子、あなたもアルビオンへ行かれるおつもりだったようですね」
「ええ…」
自分のせいでアスカが捕まってしまった以上、そのツケを払わなければならないと考えていたので否定はできない。シュウは頷いた。
「ッ…!待ってください陛下!シュウは…」
「ティファニア、言いたいことはわかります。救われた身でありながら、それもあくまで怪獣と戦う勇者であるあなたにこうして頼むのは筋違いかもしれません。ですが、私はこの国の未来のためにも、どうか理解してほしいんです。
その代り、これまであなたに助けられてきた者たちの代表として…私たちも全力で彼に助力します」
シュウがウルトラマンだとわかったうえで協力を求めてきたアンリエッタにテファは反射的に止めよう
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