溝-グレイヴ-
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なかったルイズはいきり立ち、横ではアキナ、そして今は心の中から見ていたハルナは深いため息を漏らした。
「相変わらずサイト君は鈍感だね。もしかして気付いてないふりをしているのかな?」
やれやれ、と両手を上に返してため息を漏らすジュリオ。まぁ、そんな軽めのやりとりは置いておくとしよう。
「ミスタ・クロサキ。お元気そうでよかった」
待っていたアンリエッタは、シュウの姿を見て安堵の笑みをこぼした。
「それに、またあなたに返さねばならない恩義ができてしまいましたね。魔法学院を闇の巨人から救っていただき、ありがとうございました」
アンリエッタもルイズも、シュウがウルトラマンであることを知っている。少なくともこの場にいる全員が知っているのか。ティファニアやマチルダはこの場の空気と話の流れからそれを察した。
ちなみにUFZメンバーのギーシュ、マリコルヌ、レイナール、モンモランシーは呼び出されていないのも、シュウの正体を公にするべきじゃないという判断からだった。口の軽いギーシュとモンモランシーにはラグドリアン湖にてバレていたのだが、どうせもう会わないだろうとシュウ自身が適当に切り捨てていたところもあって気に留めていなかった。実際ギーシュは軽い気持ちで「人間がウルトラマンに変身したのを見た」と同級生らに口を滑らせたが、夢でも見たんだろとか、女子から構ってほしいだけだろと、誰も信じてくれなかったのでさすがのギーシュも言わなくなったとか。シュウが魔法学院に保護されてからも同様だが、騒ぎを恐れたサイトからも口止めを受けたので言っていない。
「…いや、この学院を守ったのは俺じゃない」
謙遜などでない。正直にシュウはそう答えた。この学院を守りきれた…とは言えなかった。自分は奴を倒し損ね、せいぜい変身不能に追い込んだ程度。その後で止めを刺したのは、奴と20年ほどの因縁を持ったコルベールだ。ちなみに今コルベールは、他の教員や城から派遣された作業員、そしてアンリエッタの呼び出しを受けていない生徒らと共に、学院の修繕作業を続けている。
「ミスタ・コルベールももちろんですが、それ以前にあなたが身を挺して、この学院を守ってくれました。この国の未来を担うメイジが途絶えてしまうことは、このトリステインにとってあまりに大きすぎる損失となったに違いありませんから」
「…俺の仕事は、人に害をなすものと戦うこと。礼を言われるようなことでは、ありません」
「女王陛下直々なんだから、普通の貴族でも大変な名誉なのに、相変わらず無礼な奴ね」
「ルイズさん、私たち日本人は基本的にあんな風に、最初は遠慮するものなんですよ」
女王直々の礼を受け取らなかったシュウに目くじらを立てるルイズ。彼女のように貴族とは、時に命よりも名誉を優先するため、シュウのように平民は愚か、上流階級を除く大半の貴族が王族か
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